2025.08.21

~水没した発電機はどうすればいい? 教えて発電くん!

最終更新日:2025.08.21
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~水没した発電機はどうすればいい? 教えて発電くん!

⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。

教えて発電くん!~水没した発電機はどうすればいい?~

発電くん

発電くん:「この前の大雨で発電機が水に浸かっちゃったんだけど…使えるかな?」


現場レポート:東北震災の“高額復旧→1年後に廃棄”から学ぶこと

東日本大震災では、津波・冠水で多くの発電機が水没しました。ある現場では、海水に浸かった発電機を高額費用でオーバーホールし一度は復帰。しかし1年も経たずに内部腐食が進行し、発電機は廃棄に。――この事例が示すのは、「水没発電機は直っても長期信頼性が戻りにくい」という現実です。特に塩分が絡む海水・汽水・泥水は腐食を長期にわたり促進します。

まずは“絶対NG”と“初動10分チェック”

【絶対NG】

  • エンジンをかけない(シリンダー内の水でハイドロロック→コンロッド曲がり等の致命傷)
  • 通電しない(制御盤・AVR・基板・コネクタのショート・発火リスク)
  • 適当な乾燥だけで再使用しない(乾いた後も塩分・泥が再腐食を誘発)
【初動10分チェック】

  1. 安全確保(感電・ガス漏れ・転倒物)。筐体外側の水分を拭き取り、バッテリーを外す
  2. 水没種別を把握:真水/泥水/海水(海水は最悪条件・腐食進行が速い)。
  3. 水位と時間:どこまで・どれだけ沈んだか(制御盤やオルタネータが水没なら復旧難易度↑)。
  4. エンジン吸排気・燃料・オイル系への浸入の疑いをメモ(後の見積もり・判断材料)。

発電くんのポイント解説(なぜダメ? どう危険?)

  • エンジン始動は致命傷の引き金:水を噛んだままの始動はハイドロロックでピストン・コンロッド破損。
  • 電気系統は“濡れて通電”が最悪:制御基板・ハーネス・コネクタの短絡、絶縁低下、発火リスク。
  • 海水は乾いてからが本番:残留塩分が長期腐食を誘発し、1年後に突然故障も。

メーカー/業界の見解まとめ

海外メーカー・業界団体は概ね以下の姿勢です:

  • 水没後の始動は厳禁・専門点検必須(例:Generacは「水没後は始動禁止、徹底清掃・乾燥・点検を受けること」と明記)。
  • 濡れた状態での運転禁止(Hondaなどは「濡れた条件で運転しない」とユーザーマニュアルで注意)。
  • 水没電気品は“乾燥+評価”が前提(OSHA/NEMAは水没機器の使用禁止→乾燥・評価・置換検討をガイド)。
  • 電機子(発電機本体)巻線は“乾燥工程+絶縁評価”が要(EASA/IEEE系資料は、加熱乾燥・絶縁抵抗管理・必要に応じ巻替え等を推奨)。

復旧可否の考え方:フローチャート(実務版)

  1. 人身安全>設備:感電・CO・燃料漏れがあれば即撤収・隔離。
  2. 塩水か? 制御盤は浸かったか?
    塩水+制御盤浸水なら交換(更新)優先。真水でも基板・AVR浸水は交換を前提に。
  3. オルタネータの状態:ベアリング・整流器・励磁回路・巻線が浸水なら、洗浄→加熱乾燥→絶縁評価。腐食痕・絶縁劣化が顕著ならリビルト/載せ替え
  4. エンジン側:吸気・ブローバイ・オイル・燃料系に水混入→全量排出・フラッシング・フィルタ交換。クランクケース乳化は複数回のオイル交換前提。
  5. 総合判断修理見積+停止損失+再腐食リスク vs 更新費+納期塩水長時間更新・レンタル代替が合理的なケースが多い。

専門業者が行う“王道の復旧プロセス”

  1. 全系統の分解点検(エンジン・オルタネータ・制御盤・端子箱)。
  2. 洗浄:海水はまず清浄水で徹底フラッシュ。泥は物理除去+洗浄剤→水洗い。
  3. 乾燥:巻線は温風/低温焼成で長時間乾燥(現場合わせの仮設乾燥炉など)。
    乾燥中は定期的に絶縁抵抗・PI等を測定し、回復傾向を確認。
  4. 消耗・損傷部の交換:ベアリング・シール・AVR・整流器・コネクタ・基板。
  5. 潤滑・燃料系のフラッシング:オイル・フィルタ複回交換、燃料水分除去、配管洗浄。
  6. 総合試験:無負荷→段階負荷→定格、波形・電圧調整・温度・振動・漏れチェック。

修理か、更新か:経済性の勘所

  • 修理向き:短時間・真水・制御盤健全・容量が希少で代替が効きにくい。
  • 更新向き海水長時間制御盤浸水・旧年式で部品供給難・今後の稼働が多い。
  • 橋渡し手段:稼働を止められない現場はレンタルで即時代替→落ち着いて更新判断。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「一瞬だけ回して様子を見る」はダメ?

ダメです。一瞬でもハイドロロック・ショートのリスク。始動は全面点検・乾燥が終わるまで厳禁。

Q2. 真水なら洗って乾かせばOK?

真水でも泥・不純物・水道水のミネラルで絶縁低下・腐食は起きます。分解清掃+絶縁評価が前提。

Q3. 直ったら長期も安心?

一度浸かった機器は潜在腐食が残ります。特に海水は後年の突然死が起きがち。定期点検を厳密に。

Q4. 保険や保証は効く?

保険は契約条件次第。メーカー保証は水没・浸水で対象外となる例が多く、事前に確認を。

再発防止:設計と運用で“水から守る”

  • 設置高さ:過去浸水高+αでかさ上げ、排水計画(側溝・透水・止水)をセットで。
  • 筐体・保護:屋外は雨仕舞い+吸排気確保(過度な密閉は不可)。
  • 電気的保護:防水コネクタ・ブッシング・ケーブルルートの水切り、接点の防錆処理。
  • 運用:月次試運転・清掃・錆発生の早期発見。

発電くんのまとめ

「水没発電機は、無理に直すより“安全・信頼性・経済性”で冷静に!」
海水+制御盤浸水更新・レンタル代替が合理的な場面が多いよ。どう動くか迷ったら、現場の状況と将来の稼働をセットで考えてね。


※本コラムの情報・参照資料は2025年8月21日時点。

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