2025.04.04

②非常用発電機の出力別・設置工事や申請手続きに必要な資格・関連法令 一覧

最終更新日:2025.08.25
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②非常用発電機の出力別・設置工事や申請手続きに必要な資格・関連法令 一覧

非常用発電機の出力別・設置工事や申請手続きに必要な資格・関連法令 一覧

(法令・公表資料の最終確認日:2025年8月25日

非常用発電機とは?

非常用発電機は、停電や災害時に建物内の重要設備へ電力を供給するために常設される発電機です。電力会社の供給が途絶しても、安全確保・事業継続のために、非常照明・避難設備・通信装置・医療機器などへ電力を供給します。

ビル・工場・病院・商業施設・公共インフラなどで採用され、設置義務がある建物も存在します。設置後は定期メンテナンスや試運転が必要なため、導入から維持管理までの法的要件資格要件の確認が重要です。

注意:法令の適用は「電圧・設備区分」で決まります

下表は選定・概算検討の目安として出力別に整理していますが、実務上は電圧区分(600Vを境)設備区分(一般用/自家用)内燃機関発電の出力等で要件が決まります。各案件では必ず所轄の産業保安監督部消防署へ事前確認してください。

出力規模と関連資格・手続き(目安)

出力の目安 用途・導入例 必要な資格・主な手続き(条件別) 関連法令・備考
〜10kVA 程度 小規模店舗・小型ビルの非常電源/一部照明・通信設備のバックアップ
  • 低圧・一般用として接続する場合:第2種電気工事士による施工
  • 消防設備と連動:消防設備士(甲4 等)
  • 内燃機関発電が10kW以上や結線条件により自家用となる場合:第1種電気工事士電気主任技術者の選任が必要になることあり(小規模事業用の特例を除く)
電気工事士法/消防法(燃料保管・連動)/建築基準法(用途・規模で非常電源義務)
10kVA〜50kVA オフィス・医療機関・公共施設など/非常照明・防災設備・IT機器のバックアップ
  • 高圧受電(例:6.6kV)や自家用となる場合:電気主任技術者の選任・届出保安規程の届出(特例除く)
  • 配線・受変電を含む工事:第1種電気工事士(最大電力500kW未満の自家用需要設備を含む工事)
  • 非常用予備発電装置の据付等:工事内容により特種電気工事資格者(非常用予備発電装置工事)
  • 非常用予備発電装置の電気工事に該当する範囲は、特種電気工事資格者が必要(第1種のみでは不可)。
  • 工事計画届(需要設備)受電電圧が10kV以上の場合のみ、着工30日前に届出。出力kVAが基準ではありません
電気事業法(自家用)/電気設備技術基準/消防法/建築基準法
50kVA以上 大規模ビル・病院・工場など/重要負荷の長時間バックアップ
  • 自家用の場合:電気主任技術者の選任(工事着手時点から)+保安規程(特例除く)
  • 受変電・高圧工事:第1種電気工事士/非常用発電装置の据付等は特種電気工事資格者が必要な場合あり
  • 非常用予備発電装置の電気工事に該当する範囲は、特種電気工事資格者が必要(第1種のみでは不可)。
  • 工事計画届(需要設備)受電10kV以上の場合に必要(着工30日前)。50kVA以上だから必須、ではありません
  • 使用前自主検査/使用前安全管理審査:工事計画届を提出した場合は完了後に実施・受審
電気事業法(自家用)/電気設備技術基準/消防法(燃料の指定数量・少量危険物)/建築基準法

※本表は設備選定時の目安です。法令上の区分・閾値は 電圧・設備区分(一般用/自家用)および 発電方式別の出力(例:内燃機関発電は10kW)で定義されます。

非常用発電機に関わる主な法令

  1. 電気事業法:自家用電気工作物の管理(保安規程、電気主任技術者の選任 等)。
    受電10kV以上の需要設備は工事計画届(着工30日前)が必要。
    工事計画届対象の場合は使用前自主検査/使用前安全管理審査が必要。
  2. 消防法:消防用設備との連動要件、燃料(ガソリン200L、軽油・灯油1000Lが指定数量)の貯蔵規制。
    指定数量の1/5以上〜未満少量危険物として条例届出。
  3. 建築基準法:用途・規模により非常用照明や非常用昇降機等の予備電源を要求。
  4. 電気工事士法第2種(低圧)、第1種(高圧含む・最大電力500kW未満の自家用需要設備)/特種電気工事資格者(非常用予備発電装置工事)。

設置・維持管理のポイント

  • 定期メンテナンス:待機設備ゆえに不始動リスク。保安規程・メーカー推奨に沿って試運転・点検。
  • 燃料管理:指定数量以上は許可+危険物取扱者の配置等が必要。1/5以上〜未満条例届出。所轄消防に事前相談。
  • 事前相談:条件により工事計画届(受電10kV以上)等が必要。産業保安監督部/消防署へ確認。
  • 法定点検・記録:自家用は保安規程に基づく点検・記録が必要。建築・消防の定期報告対象となる場合も。

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⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁・消防へご確認ください。