2025.04.07
可搬型発電機(仮設発電機)とは? 出力別・設置工事や申請手続きに必要な資格・関連法令 一覧
最終更新日:2025.06.26
- 知識
- 法律

2025/06/26 改訂(移動用電気工作物 通達対応版)
可搬型発電機とは?
可搬型(移動式)発電機は恒久接続せず、現場へ一時的に持ち込んで使用する発電機です。
利用例: 工事現場・イベント・仮設事務所・災害時の臨時電源 など
小出力や短期使用では資格・届出が不要な場合もありますが、
原動機定格出力 10 kW 超(参考:三相 PF0.8 なら ≒12.5 kVA)になると自家用電気工作物として法定手続きが必要になります。
【注意】 可搬型でも6カ月超の設置・使用は現場実態により常設設備と判断されることがあります。
その際は主任技術者の常勤選任や保安規程届出など常設と同等の手続きが必要です。必ず事前に所轄官庁へ確認してください。
その際は主任技術者の常勤選任や保安規程届出など常設と同等の手続きが必要です。必ず事前に所轄官庁へ確認してください。
【ポイント】令和5(2023)年 3 月 20 日通達「移動用電気工作物の取扱い」←チラシPDF
出力 10 kW 以上の可搬型発電機は移動用電気工作物とされ、仮設や短期利用でも次の2大届出が必要です。
出力 10 kW 以上の可搬型発電機は移動用電気工作物とされ、仮設や短期利用でも次の2大届出が必要です。
- 保安規程の作成・届出(電気事業法42条)
・様式第16号(移動用簡易保安規程)を利用可
・使用場所を管轄する産業保安監督部長あて
・複数管轄区域を巡回する場合は経済産業大臣あて - 主任技術者の選任・届出(同43条、施行規則52条)
・外部委託承認や兼任承認制度で常勤要件を充足可能
出力別 必要資格・手続き一覧 ※PF0.8 例示
出力 | 使用例 | 必要資格・対応 | 主な法令・備考 |
---|---|---|---|
〜1.5 kVA | キャンプ・屋外照明 | 法令上の資格要件なし(延長コード) アース推奨 |
届出不要(電気事業法上) ※燃料大量保管は消防法対象 |
1.6〜12.4 kVA (〜約10 kW) |
小型工具・仮設照明 | 発電機設置のみ法令上の資格要件なし 建物配線 → 第2種電工以上 |
電気工事士法/労安法/消防法 |
12.5〜49 kVA (10〜39 kW) |
仮設事務所・空調・200–400A 溶接機 | 保安規程届 主任技術者届 外部委託・簡易保安規程 OK 600 V 以下→第2種、600 V 超→第1種電気工事士が必要 |
電気事業法/電気工事士法/消防法 |
50 kVA 以上 (40 kW 超) |
大型イベント・高圧受電・並列運転 | 保安規程届 主任技術者届 外部委託・簡易保安規程制度あり 高圧配線 → 第1種電工必要 |
電気事業法/電技基準/消防法 工事計画届(ばい煙施設): 内燃力10 MW以上 または 燃料50 L/h(ガソリン35 L/h) |
「6カ月」ルールの背景
6カ月以内 → 仮設、6カ月超 → 常設 という区分は、法律で明示された上限ではなく、行政通達等で運用される慣例的目安です。
最終判断は現場実態および所轄官庁(産業保安監督部など)の指導によります。
※参考:電気事業法施行規則 第47条の5(常設設備の判断指針)
消防法の適用は 燃料量 と 配線・設備形態 で決まる
1. 貯蔵・取扱う燃料量の基準
- ⛽ ガソリン 40 L超 / 軽油 200 L超(指定数量 1/5)→ 設置届出
- ⛽ ガソリン 200 L超 / 軽油 1 000 L超(指定数量 超)→ 市町村長の許可
2. 配線・設備形態による技術基準
消防設備と連動する場合、以下の資格者による設計・工事が必要です。
- 消防設備士 甲種4類:泡消火設備、粉末消火設備 など
- 消防設備士 甲種6類:泡放射設備
【事前相談のすすめ】
出力に依存しないため、燃料量・配線計画が固まった段階で、必ず管轄消防署(予防課など)へ事前相談してください。
出力に依存しないため、燃料量・配線計画が固まった段階で、必ず管轄消防署(予防課など)へ事前相談してください。
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まとめ
- 出力10 kW超 ⇒ 保安規程+主任技術者届(外部委託可)
- 工事計画届は10 MW / 50 L/h(35 L/h)基準 + ばい煙施設条件
- 6カ月は慣例、最終判断は現場と所轄官庁
- 消防法は燃料量・配線ベースで判定
※本稿は 2025-06-26 時点の法令・通達をもとにしています。最新要件は設置前に所轄産業保安監督部・消防署へ確認してください。