EV充電③ 発電機でEV充電は可能?災害時や移動充電に活用できる新たな選択肢
- 知識

発電機でEV充電は可能?
災害時や移動充電に活用できる新たな選択肢
近年、電気自動車(EV)の普及に伴い、 「停電や災害時にEVの充電をどう確保するか」が注目されています。
その中で、 「可搬型発電機や非常用発電機を使ってEVに充電する」 という選択肢も検討され始めています。果たして、本当に発電機でEVを充電できるのか?
本記事では、その可能性や活用シーン、注意点をわかりやすく解説します。
1. そもそも発電機でEVを充電する仕組みは?
EVの充電は、交流(AC)充電と直流(DC)充電の2種類に大別されます。
一般的な可搬型・非常用発電機からは交流電源が出力されるため、 AC充電としての利用が基本です。
- AC充電:家庭用コンセントや200V充電スタンドなど
- DC充電:いわゆる急速充電器(CHAdeMO等)
発電機側の出力がEVのオンボード充電器(車側のAC充電ユニット)で受けられる範囲内であれば、 ケーブルを介して充電が可能です。
2. 実際にどんなシーンで活用できる?
- 災害時のバックアップ電源:停電中でも移動用発電機を使い、最低限の走行分を確保
- 移動充電サービス:ガソリン車のロードサービスのように、EV向けにも移動充電のニーズが高まる
- イベントやアウトドア:野外イベントでEVを使用する場合、付近に充電設備がない際の一時的活用
特に大規模災害時には充電インフラがダウンする可能性があり、 発電機を備えておくことで機動力を確保できるメリットがあります。
3. 注意点・課題
発電機でEVを充電するには、以下のような課題・注意点があります。
- 出力の安定性:発電機がEV充電に対応できる安定した出力を維持できるか
- 充電速度の限界:可搬型発電機の場合、急速充電ほどの高出力は望めない
- 燃料管理:災害時に燃料を確保できるかが大きな問題
- 接続方法:EV充電ケーブルの規格と発電機のコンセント・電圧が合わないと利用不可
特にEVのバッテリー容量は数十kWhが当たり前の時代。
小型の発電機ではフル充電に時間がかかるため、 「最低限の移動可能な電力量を補う」使い方が現実的です。
4. 種類別:どんな発電機がEV充電に向いている?
種類 | 特徴 | 向き・不向き |
---|---|---|
インバーター式 | 出力の波形が安定 家電や精密機器にも対応可能 |
比較的EV充電向きだが、大出力タイプは少ない |
ディーゼル式 | 高出力・燃料コストも比較的安価 | 災害時の大容量充電向きだが、本体は大型化しがち |
ガソリン式 | 燃料入手性は高いが、保管リスクあり | 小型~中型で災害備蓄向き。燃料管理が課題 |
5. 大型移動式発電機(~1100kVAクラス)という選択肢
一般的には「可搬型発電機=数kVAクラス」と思われがちですが、 デンヨーのDCAシリーズなどでは 最大で1100kVA程度の大型移動式発電機も用意されています。
波形品質(インバータ制御や高精度AVR)に優れるため、 EVのオンボード充電器が要求する安定した電力を供給しやすく、 一度に大量の電力を充電できる可能性があります。
- 高出力による充電時間短縮:小型機よりもEV充電を高速化できる
- 災害・イベント対応:大規模現場に移動設置し、複数台のEVを同時充電
- 燃料コスト・運用コスト:大出力ゆえに燃料消費量が増加するため、経費や補給計画に要注意
6. まとめ:発電機でのEV充電は「補助的手段」として期待
発電機を使ったEV充電は、大容量を一気に満たすというより、 非常時やインフラが未整備の場所で最低限の電力を補う用途に適しています。
とはいえ、デンヨーのDCAシリーズのように波形品質・大出力を兼ね備えた機種なら、 災害時やロードサービスでの本格的な移動充電にも対応可能です。
今後、EVがさらに普及し、 移動充電サービスのニーズが高まる中で、 可搬型発電機+EV充電ケーブルという組み合わせは、 新たなバックアップ電源の選択肢になりうるでしょう。
ただし、燃料確保・安全対策・法令遵守などの課題もあるため、 事前の計画・確認が欠かせません。