非常用発電機レンタルと停電信号の連携【専門解説】
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最終更新日:2025.05.26
非常用発電機レンタルと停電信号の連携【専門解説】
レンタル発電機を非常用電源として使うとき、停電信号と自動始動盤の連携がカギです。
本稿では「どんな信号をどう結ぶと安全・確実に動くのか」を、要点→結線→保護→試験の順でやさしく整理します。
まずは要点(3行)
- 停電信号は「無電圧 a 接点」または「有電圧」。自動始動盤はこの信号で発電機を起動します。
- REMOTE START/AUTO START 入力は原則「維持入力」(接点クローズを維持)。最小オン時間やパルス条件は機種仕様に従うのが基本です。
- 保護・安全は数値根拠で:逆電力は例として2–6 %Pn/0.5–2 s、E-STOP 高さは0.6–1.7 m(JIS B 9703:2019)。
停電信号の種類と動作原理
停電信号とは、既設の電源監視装置や制御盤が商用電源の停止を検出した際に出力する信号です。多くの現場では 無電圧 a 接点(ドライ接点)または有電圧信号(例:DC 24 V/AC 100 V)が用いられます。
自動始動盤はこの信号をトリガーにエンジン始動→電圧・周波数安定→(停電復帰後)停止の一連動作を実行します。
無電圧 a 接点による一般的な結線
- 既設の停電検出装置からドライ接点(NO)を取り出す。
- レンタル発電機の自動始動盤にある
REMOTE START
/AUTO START
端子へ配線。 - 停電時に a 接点がクローズ → 自動始動盤がスタータリレーを駆動 → エンジン始動。
代表的仕様(目安)
項目 | 代表値 | 注記 |
---|---|---|
接点形式 | NO(a 接点) | 停電時クローズ |
接点容量 | DC 30 V 1 A(抵抗負荷) | リレー/入力駆動用 |
最小適用電圧/電流 | DC 5 V/10 mA | 微小電流での確実動作 |
REMOTE START/AUTO START 入力形式 | 維持入力(接点クローズ継続) | 最小オン時間やパルス条件はコントローラ仕様に従う |
信号線長とノイズ対策
- 配線が長い(目安 50 m 以上):シールド付きツイストペア(例:0.75 mm² STP)を推奨。
- シールドは電源側片端接地(一点接地)で誘導ノイズを低減。
- 必要に応じて中継箱で補助リレーを挿入し、電圧降下やノイズ影響を抑制。
有電圧信号の場合のインターフェース
自動始動盤の入力が無電圧接点限定のときは、有電圧信号を補助リレーで無電圧化します。 例:AC 100 V 信号 → 小型補助リレーのコイルへ印加 → そのドライ接点を自動始動盤へ入力。
REMOTE START
へ接続。AC 100 V 停電信号 L ──o──────────────────────────────┐ │ ┌───┴───┐ │ COIL │ 補助リレー(AC 100 V) │ A1 A2│ └───┬───┘ │ N ──o──────────────────────────────┘ ┌─────────[ RC ]─────────┐ │ コイル両端に並列(AC時)│ └────────────────────────┘ (← ここで電気的に絶縁(無電圧) →) RS_A(REMOTE START 端子) ←── COM(11) ──o────────o/ o────────── NO(14) ──→ RS_B(REMOTE START 端子) (a接点:励磁で導通) NC(12):未接続(必要に応じて別用途。COMと切替で使うが、REMOTE STARTの2線には接続しない)
※RS_A/RS_B はコントローラの REMOTE START 2端子を指します(機種により RS+/RS− や Dry IN A/B などの表記に読み替えてください)。
※サージ吸収がないと接点溶着やノイズ侵入の原因になります。
※DCコイルの場合はRCではなくフライホイールダイオードをコイルに直付けしてください(極性注意)。
既設 ATS との組み合わせ
既設 ATS が切替と停電検出を兼ねる場合、ATS の発電機始動用 a 接点をレンタル用自動始動盤へ引き込みます。
- ATS 設定は「発電機あり」または所定の「テスト」モードへ。
- 接点定格(例:AC 250 V 5 A)を確認し、重複配線は避ける。やむを得ない並列は絶縁リレー等で分離。
- 瞬停誤動作防止のStart Delay/TDES 等は ATS/コントローラ側の設定に合わせる。
安全性・保護回路の留意点
- 逆潮流(逆電力)防止:逆電力継電器の設定例:2–6 %Pn/0.5–2 s (%Pn=定格有効電力に対する割合。装置仕様に合わせ最終調整)。MCCB インターロックと併用可。
- 過負荷保護:実運用は定格の80 %以内を目安にし、ロードバンク等で確認。
- 緊急停止(E-STOP):赤色ボタン/黄色地で明確表示。操作高さは0.6–1.7 mが目安(JIS B 9703:2019(ISO 13850))。
レンタル利用時の事前打合せ事項
- 停電信号の出力仕様(無電圧/有電圧、電圧値、NO/NC)。
- 単線結線図・系統図の事前共有。
- ケーブル長・経路設計(ノイズ対策・電圧降下)。
- 現地作業スケジュール(配線工事・試運転)。
事前試験・デモ運転の重要性
多くの不具合は実負荷試験で初めて見つかります。本稼働前に、起動 → 切替 → 負荷投入 → 停止を必ずシミュレーションしてください。
- エンジン始動から定格電圧・周波数安定までの時間を実測。
- UPS 併用時は同期・切替の許容時間やバイパス挙動を確認。
まとめ:連携を円滑に進める鍵
- 停電信号仕様と自動始動盤入力形式を一致させる。
- 既設 ATS の制御ロジック・定格を把握する。
- 負荷容量・配線長・保護回路を数値で確認する。
- 試運転で起動〜切替〜停止を通しで検証する。
これらを徹底すれば、停電時にも確実な非常用電源確保と事業継続性の向上が図れます。
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