2025.04.22

故障③【発電機のオーバーヒート対策】原因・チェックポイントを徹底解説

最終更新日:2025.04.22
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故障③【発電機のオーバーヒート対策】原因・チェックポイントを徹底解説

 

 

 

【発電機のオーバーヒート対策】原因・チェックポイントを徹底解説

発電機を安定して運用するうえでオーバーヒート(冷却系トラブル)は特に注意が必要です。
冷却水レベルの低下ラジエーターの汚れウォーターポンプの不調サーモスタットの固着負荷率の過大風通しの悪い設置環境、さらには外気温の上昇など、冷却系が正常に機能しないと重大なエンジン故障へつながる恐れがあります。
本コラムでは、オーバーヒートの代表的な原因と予防策を、わかりやすくご紹介します。

1. オーバーヒートとは?

オーバーヒートとは、エンジンの冷却が十分に行われず、許容温度を超えてしまう状態を指します。発電機は連続運転する場合が多く、冷却系のトラブルを放置すると深刻な故障や火災のリスクも伴います。日頃から冷却システムを入念に点検し、異変を早期に察知できる体制づくりが重要です。

2. 主な原因とチェック項目

オーバーヒートを引き起こしやすい原因と、それに応じたチェック・対処方法を以下にまとめました。

チェック項目 内容 対応
冷却水レベル クーラントが適正なレベルにあるか 冷却水を補充・交換
クーラント濃度 防錆・泡立ち防止に適切な濃度か 比重計で確認し、規定濃度に調整
ウォーターポンプ ポンプ本体やベルトに損傷・緩みがないか ウォーターポンプ修理、ベルト交換
サーモスタット 開弁温度で正常に開閉しているか 不良品は交換し、エア抜きを確実に行う
ラジエーター フィンにホコリ・泥が詰まっていないか ラジエーター清掃、吸排気口の確保
エアフィルター フィルター詰まりによる吸気不足がないか フィルター清掃または交換
負荷率 定格を超える過負荷で運転していないか 負荷を70%以下に抑える、または発電機容量を見直す
設置環境(風通し) 隣接機器や壁との距離が近すぎないか 設置間隔の確保、排気・吸気経路の改善
外気温 夏季高温や熱だまりで冷却効率が低下していないか 換気強化、負荷見直し、夏用クーラント導入

3. オーバーヒートを防ぐためのポイント

  1. 定期的な冷却水と濃度のチェック — 適正量・濃度を維持し交換サイクルを順守。
  2. ウォーターポンプとベルトの点検 — 異音・損傷・張力低下を早期対応。
  3. サーモスタット機能確認 — 開弁温度で確実に開閉するかテスト。
  4. ラジエーター周辺の清掃 — 定期清掃で放熱フィンを目詰まりさせない。
  5. エアフィルターの管理 — 吸気不足を防ぎエンジン負荷を抑制。
  6. 負荷管理と容量見直し — 定格出力の70%を超える運転が続く場合は容量アップを検討。
  7. 設置環境の最適化 — 風通し確保と熱だまり防止。

4. 外気温との関係

発電機はラジエーターとファンで外気に熱を放散します。外気温が高いほど放熱効率(ΔT)が小さくなり、オーバーヒートが起こりやすくなります。

  1. 冷却効率の低下 — 外気40 ℃近くで放熱量が減少し、定格出力を維持できなくなります。
  2. 熱だまり現象 — 排熱が再循環し局所温度が上昇。
  3. 潤滑油・冷却水温度の上昇 — 潤滑性能低下・焼き付きリスク。

炎天下での直射日光と輻射熱

真夏の炎天下では、外気温がさほど高くなくても直射日光による輻射熱で筐体表面が外気より10〜20 ℃上がるケースがあります。遮熱シートや日除けルーフ、反射塗装で対策を行いましょう。

5. よくある質問(FAQ)

Q1. オーバーヒートの前兆症状はありますか?
A. エンジン温度計の急上昇、冷却水の急減、蒸気や異臭・異音が代表的サインです。

Q2. 冷却水は水道水で代用できますか?
A. 緊急時を除き推奨されません。腐食・凍結防止性能が不足するため、早期に専用クーラントへ交換してください。

Q3. ベルトが緩んでいるとどうなりますか?
A. ウォーターポンプやファンの回転が不足し冷却性能が急低下します。定期的に張力を確認してください。

Q4. 炎天下で発電機を24時間連続運転しても大丈夫?
A. 外気40 ℃・高負荷条件では追加換気がない限り推奨されません。負荷率70%以下や休止時間を設けて温度を下げましょう。

Q5. 具体的に何℃で停止しますか?
A. 多くの水冷ディーゼル発電機では、冷却水温が約95 ℃で警告を発し、105 〜 110 ℃で自動停止(高水温シャットダウン)となる設定が一般的です。機種やコントローラ設定により差がありますので、必ず取扱説明書でご確認ください。

Q6. クーラントの適正濃度は?
A. 一般に体積比30–50%が推奨値です。濃度が薄いと錆・泡立ちが増え、濃すぎると熱伝導率が低下するため、比重計で確認し適宜調整してください。

まとめ

発電機のオーバーヒートは、冷却水不足クーラント濃度不良サーモスタット固着, ラジエーター目詰まりウォーターポンプ不良過負荷運転風通し不良、そして外気温の上昇・炎天下の輻射熱が主因です。95 ℃で警告、105 ℃前後で停止する前に、日常点検・環境改善・高温期対策を徹底し、安定稼働を実現しましょう。

◎便利なツール・発電機サイト

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