2025.05.01

故障⑦【発電機の過負荷運転(出力不足)対策】原因とチェックポイントを徹底解説

最終更新日:2025.09.07
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故障⑦【発電機の過負荷運転(出力不足)対策】原因とチェックポイントを徹底解説

【発電機の過負荷運転(出力不足)対策】原因とチェックポイントを徹底解説【計算方法付き】

発電機を使用する際に、定格容量を超える負荷をかけると、電圧降下やエンジンの負担増加などのトラブルが発生しやすくなります。
これを過負荷運転と呼び、放置すると故障や安全性の低下を招くリスクが高まります。
本コラムでは、過負荷運転(出力不足)の原因と具体的なチェックポイント、そしてトラブルを防ぐための負荷管理方法について解説します。

目次

1. 過負荷運転(出力不足)とは?

発電機には、それぞれ定格出力(定格容量)が設定されています。
この定格容量を超える負荷をかけると、エンジンの回転数低下電圧降下過熱などを引き起こすことがあり、最悪の場合、エンジンや発電機本体の故障につながります。
過負荷状態が続くと稼働寿命を大きく縮める原因にもなるため、負荷管理は発電機運用の最重要ポイントと言えます。

2. 主な原因とチェック項目

過負荷運転(出力不足)が疑われる際に確認すべきポイントと、その対応策を以下の表にまとめました。

★は現場トラブルで頻出の要注意ポイント
チェック項目 内容 対応策
負荷の確認 定格容量を超える負荷が接続されていないか 負荷の削減・分散・適正化
発電機容量 定格出力が実負荷に十分か 必要に応じて大容量機へ交換 ※負荷計算ツール
高地・高温・フィルタ詰まり 吸入空気密度低下や燃料質低下で出力が下がる 環境補正係数で容量確認、フィルタ清掃、燃料管理
三相不平衡負荷 デルタ結線200Vで片相だけ過電流 → コイル局部過熱 フェーズ分散・アンバランス保護リレー設定 注1

注1:可搬型発電機にはアンバランス保護リレー(高機能保護装置)がないモデルが一般的です。

3. 過負荷運転を防ぐためのポイント

  1. 負荷の分散と段階投入…突入電流を避けるため順次起動
  2. 定格容量に余裕を持たせる…一般負荷は1.2〜1.5倍を目安に、
    インダクションモーターなど始動電流が大きい機器は3倍程度
    インバーター/サーボモーターは6倍以上必要となるケースもあるので負荷特性を確認
  3. ソフトスタータ/VFD の利用ソフトスタータや可変速ドライブ(VFD)を用いると始動電流を大幅に低減できるため、条件によっては必要発電機容量を抑えられる
  4. 負荷測定ツールの活用…電力計・クランプメーター・周波数計で Hz ドロップを監視
  5. 過電流保護装置の確認…MCCB/BCCB の定格とリレー設定を適正に

4. 法令・規格の根拠

基準・規格の参照日:2025年9月7日(日本時間)

⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。

5. よくある質問(FAQ)

Q1. 過負荷運転が起きるとすぐに故障しますか?
一度の過負荷で即故障するケースはまれですが、繰り返すと絶縁劣化やコイル焼損のリスクが高まります。

Q2. 余裕を持った容量はどのくらい?
一般的な照明・ヒーターなどの抵抗負荷では1.2〜1.5倍で足りますが、
インダクションモーターやコンプレッサーは始動電流が定格の約3倍
インバーター/サーボモーターでは6倍以上になる場合もあります。
例:50 kW クレーン用サーボモーターは始動時に 300 kVA 以上を要求するケースが報告されています。
必ず機器仕様書で最大電流を確認してください。

Q3. 不平衡負荷はどの程度許容されますか?
三相電流不平衡率が10%を超えると過熱リスクが増すため、アンバランスリレーを5〜8%で設定するのが目安です。

6. まとめ

発電機の過負荷運転は電圧降下やエンジン負荷増大を招き、寿命を縮める要因になります。環境補正、負荷分散、過電流保護装置の適正設定、およびソフトスタータ/VFD の活用で安全な運用を心がけましょう。

◎便利なツール・発電機サイト

  • 発電機負荷計算ツール
    負荷を計算し、必要な発電機容量を検討できます。
  • ケーブル選定ツール
    発電機からの配線を安全に行うためにケーブルサイズを確認可能。
  • 発電機.jp
    各種発電機の導入事例や導入検討のポイントを網羅。移動式大容量発電機の情報もチェックできます。

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