2025.05.13

教えて発電くん!回生ブレーキと発電機の相性をかんたん解説|発電機.jp

最終更新日:2025.09.22
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教えて発電くん!回生ブレーキと発電機の相性をかんたん解説|発電機.jp

(最終更新:2025年9月22日/情報・法令はこの日時点)

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教えて発電くん!シリーズ

回生ブレーキと発電機の相性を
かんたん解説(初心者向け・テキスト図版)

まずはここだけ(3行まとめ)

  1. 双方向(回生あり)充電器は、減速時などに発電機へ電気を逆流させることがあり、停止の原因になります。
  2. 現場では①回生をOFFにするか②ブレーキ抵抗で熱に捨てる③商用系統へ返送するAFEのどれかで回生処理を完結させるのが基本。
  3. 双方向充電器を発電機で動かすなら、発電機容量は充電器定格の目安1.5倍逆電力保護の設定確認が安心。

現場レポート:充電ブースで発電機が時々止まる…原因は?

物流倉庫のフォークリフト充電25kVAの可搬型発電機で賄ったところ、充電の途中で停止が発生。調べると、使っていた充電器が双方向タイプ(AFE/PCS)で、減速時などに電気をAC側に戻す=回生していました。その回生電力が発電機へ逆流(逆潮流)し、逆電力継電器(32R)やAVRの保護が働いて停止します。

充電器の見分け方(ここ超大事)

  • 片方向(AC→DCだけ):整流器/PFC。表記例「Unidirectional」「AC→DC」。→ 逆流しないのが基本。
  • 双方向(AC⇄DC):AFE/PCS。表記例「Bidirectional」「Regenerative」「V2X」。→ 回生で戻すため、発電機が停止しやすい。

OK:片方向充電器(AC→DCのみ)— 逆潮流なし [発電機] ──→ [充電器(片方向:整流/PFC)] ──→ [バッテリ] 三相200V/50-60Hz AC→DCのみ(回生しない) ポイント: ・回生(バッテリ→AC)は発生しない前提 → 逆電力継電器(32R)は動作しにくい ・容量選定は通常見積でOK(ただし始動電流などは別途確認)

NG:双方向充電器(回生ON)— 発電機へ逆流して停止 通常時: [発電機] ──→ [充電器(双方向:AFE/PCS)] ──→ [バッテリ] 回生時: [バッテリ] ──→ [充電器] ──→ [発電機] ⇐ 逆流(P<0) 結果:逆電力継電器(32R)やAVR保護が動作 → 発電機 停止 対策:回生OFF/ブレーキ抵抗/ (発電機給電下での系統返送は原則非推奨。ただし容量比およそ150%:100%PMG+デジタルAVR、適切なフィルタ・保護設定などのメーカー条件を満たし、事前検証を行えば運用可能な場合あり

よくあるタイミング

  • 充電プロファイル切替・減速回生の立ち上がり時に一瞬だけ逆流 → 保護が動作。
  • 再起動しても回生のたびに停止をくり返す(異常停止ループ)。

なぜ止まるの?(やさしい図解つき)

モーターは減速時に発電機のように電気を返すことがあります(=回生)。双方向充電器はその電気をAC側へ戻すので、発電機から見ると「逆向きの電力」が流れます。これを逆電力と呼び、安全装置(逆電力継電器:32R)などが働いて停止します。

発電機と回生ブレーキ付き機器の電力の流れ(通常時/回生時)
通常は一方向。回生時は矢印が逆になり、発電機側へ戻ろうとします。

逆電力トラブルを防ぐ対策(おすすめ順)

    1. 装置側で回生を処理する(まずここ)

      • 回生OFF:設定で回生を抑える(停止距離や効率に影響する場合あり)。
      • ブレーキ抵抗:余った電気を熱にして逃がす方法。構成が簡単で効果が早い。
      • AFE(回生ユニット):商用系統に高力率で返送可能。 発電機給電下での使用は原則非推奨だが、メーカー条件(例:発電機:充電器≒150%:100%PMG+デジタルAVR、適切なフィルタ/保護設定 等)を満たし、事前検証すれば運用可能なケースもある

      ポイント:発電機は回生電力を受け止められないのが普通。必要なら回生を装置内で完結させる設計に。

OK:双方向充電器+ブレーキ抵抗 — 回生は装置内で吸収 通常時: [発電機] ──→ [充電器(双方向:AFE/PCS)] ──→ [バッテリ] 回生時: [バッテリ] ──→ [充電器] ──→ <ブレーキ抵抗で吸収> ✖ 発電機へは戻さない メモ: ・回生エネルギーは抵抗で熱として消費 → 逆潮流を防止 ・抵抗容量/冷却/デューティを設計(過熱・火傷・火災対策)
    1. 発電機の設定・仕様を確認

      逆電力継電器(ANSI 32R)AVR(発電機の電圧制御)のしきい値・遅延の確認。
      非線形・過渡に強いPMG+デジタルAVR構成が望ましいことが多いです(型式で差があるため取扱説明書を確認)。

    2. 容量の目安:双方向充電器=発電機1.5倍

      双方向(回生対応)充電器を発電機で動かす場合、発電機定格 ≒ 充電器定格×1.5まずの目安に。複数台同時運転や回生の重なりがあるなら、さらに余裕を。

    3. 単相運用に注意

      三相機を単相で使うと一相だけ逆流になることがあり、不平衡や過電流の原因になります。

注意:三相機の単相取り — 相不平衡と片相逆流に注意 三相[ R / S / T ] のうち R-S のみ使用 → 単相負荷(双方向)→ バッテリ ↑ 回生時:バッテリ ──→ 充電器(単相) ──→ 片相だけ逆流(R-S間) リスク: ・相不平衡・過電流・AVRの不安定化 対策: ・三相で均等負荷/単相専用機の使用/回生OFFや抵抗吸収

※ 商用系統へ返送(系統連系)する場合は、電力会社・所轄官庁との手続き・適合確認が必要です。

OK/NG早見表

ケース 判断 ひとこと
片方向充電器を発電機で使用 OK 逆流しないのが基本。容量は通常の見積でOK。
双方向充電器(回生あり)を回生ONのまま NG 発電機は原則回生を受けられない → 停止しやすい。
双方向充電器+ブレーキ抵抗(回生OFF/吸収) OK 余剰は装置内で処理。発電機に戻らない。
三相機を単相で片相だけ使う 注意 不平衡・過電流・逆潮流の偏りに注意。

用語ミニ辞典(さらっと読む用)

  • 回生ブレーキ:減速時に電気を戻す仕組み。EVやリフトで一般的。
  • 逆潮流(逆電力):電気が発電機側へ逆向きに流れること。
  • AFE/PCS:ACとDCを両方向にやり取りできる電源(双方向)。
  • 逆電力継電器(32R):逆流を検出して止める保護装置。
  • AVR:発電機の電圧を整える制御(デジタルAVRだと過渡に強い機種が多い)。
  • PMG:AVR用の独立電源。負荷の変動に強くなる傾向。

選定チェックリスト(印刷OK)

ポイント 確認内容 判定
充電器タイプ 片方向 or 双方向(仕様書の表記で判断) □ 片方向 □ 双方向
回生処理 回生OFF/ブレーキ抵抗/AFE(系統返送) □ 済 □ 要対応
発電機側 容量余裕(目安1.5×)、AVR/32Rの設定・遅延 □ 済 □ 要対応

これだけ押さえれば、逆潮流トラブルはかなり防げます

参考リンク

⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。


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