教えて発電くん!回生ブレーキと発電機の相性を徹底解説|発電機.jp
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教えて発電くん!シリーズ
回生ブレーキと発電機の相性を徹底解説
現場レポート:物流倉庫のフォークリフト充電ブースで発生した謎の停止トラブル
某物流倉庫で、電動フォークリフト用の充電ブースに可搬型発電機(50 kVA)を接続したところ、発電機が突如停止—しかも1日に数回も!
原因調査の結果、フォークリフトに搭載された回生ブレーキ機能が発動し、発電機側に逆電力が戻っていたことが判明しました。
📋 トラブル詳細ログ
- 使用機材:可搬型発電機 Denyo DCA‑60ESI(60 kVA/AVR SR‑7)
- フォークリフト:ニチユ FBR‑30シリーズ(48 V 500 Ah)
- 急速充電器:ACME FC48‑150(3φ AC 200 V/150 A)
- 発生タイミング:充電開始 7 分後、減速→回生ブレーキ動作時
- 発電機側アラーム:AVR 過電圧 255 V → 自動停止(F‑03 コード)
- 推定逆潮流:ピーク −12 kW(−30 A×3φ)
現場では 1 日のうち3 回同現象が発生。冷却停止後にリセットして再起動するも、回生動作が再び起こるたびに異常停止ループとなった。
回生ブレーキとは?
モーターを発電機として逆利用し、減速時の運動エネルギーを電力として回収する仕組み。主に鉄道、EV、電動フォークリフトなどに搭載されています。
- 走行(加速)時:モーター駆動 → 電力消費
- 減速時:モーターが発電モード → 電力回収
📊 回生電流波形のポイント
回生モードでは、モーターが負の力率(cos φ ≒ −0.8)を示し、下図のように電流位相が電圧より180°遅れます。
- 実効電力
P = V × I × cos φ
が負値 → 発電機側へ逆電力 - ピーク電流は定格の150〜200 %に跳ね上がる場合あり
- AVR が過電圧を検知 → OV Trip or 逆電力継電器 RP Relay が動作
この “一瞬の大電流” が 逆潮流トラブル の本質です。
【図解】発電機と回生ブレーキ付き機器の電力の流れ

図のように、減速時(右側)は逆向きの矢印で示す回生電力が発電機側へ流れ込む可能性があります。
逆電力トラブルを防ぐ4つの対策
-
回生電力吸収装置(ダミーロード)
推奨容量は 最大回生電力×1.25。例:逆潮流 12 kW → 15 kW の抵抗負荷ユニットを三相Δ接続で導入。
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機器の回生ブレーキ機能をオフ
ニチユ/トヨタ/住友など主要フォークリフトはサービスモードで “Regene OFF” が選択可能。マニュアル上は充電効率 5–8 % 低下と記載。
-
双方向対応の発電機(PCS 内蔵)を採用
例:Nippon Sharyo NPG‑45Bi(45 kW, bidirectional inverter, ±100 A)。価格は同クラス従来機の約 1.6 倍。
-
緊急対策:負荷の6〜7倍容量の発電機を使用
負荷 8 kW に対して 50 kVA を手配—燃料消費 2.7×、騒音 3 dB 増を覚悟。恒久策が決まるまでの “応急処置” と割り切る。
メーカー別注意喚起(ヤンマー/いすゞ搭載機など)
ラベル項目 | 確認ポイント |
---|---|
逆潮流定格 [kW] | 記載なし=不可 のサイン |
AVR 型式 | PMG+デジタルAVR は比較的◎ / 励磁巻線式は要注意 |
逆電力継電器 | RP Relay / 32R が ON なら安全側停止 |
三相/単相切替 | 単相モード時は 1 相だけ逆潮流 → 過電流注意 |
※ ヤンマー YDG, いすゞ EG 系列エンジン搭載機でも、発電機部は Mecc Alte / Stamford などブランド混在。型式確認は必須。
まとめ:選定チェックリスト
ポイント | 確認内容 | 判定 |
---|---|---|
回生ブレーキ機能 | 対象機器の仕様書で有無を確認 | □ 済 □ 要対応 |
逆電力処理 | ダミーロード/双方向発電機の導入 | □ 済 □ 要対応 |
発電機仕様 | 単方向 or 双方向、AVR 保護設定 | □ 済 □ 要対応 |
逆潮流リスクを理解し、最適な発電機と保護装置を選べば、トラブルを未然に防げます。