2025.06.06

【事例集】災害現場の発電機トラブル徹底ガイド|病院・避難所・自治体の非常用電源【教えて発電くん Vol.3】

最終更新日:2025.06.06
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【事例集】災害現場の発電機トラブル徹底ガイド|病院・避難所・自治体の非常用電源【教えて発電くん Vol.3】

 

 

【事例集】災害現場の発電機トラブル徹底ガイド|病院・避難所・自治体の非常用電源【教えて発電くん Vol.3】

発電機.jp 編集部がお届けする実例コラムシリーズ。
今回は病院・避難所・自治体で実際に起きた非常用発電機トラブルを、原因・影響・対策・関連法規までリアルに解説します。

こんにちは、発電くんです! 災害時の発電機トラブルは「命」と「行政機能」に直結します。現場から寄せられた3 つの象徴的な事例を深掘りし、失敗しない備えをお届けします。

災害現場の発電機トラブルを解説するマスコットキャラクター発電くん

📋現場レポート1:病院「バッテリー未交換で非常用発電機が沈黙」

事例要約: 深夜の大規模地震直後、病院が全館停電。非常用発電機が起動せず、 ICU・手術室の生命維持装置やナースコール等が約 20 分間ダウンし、現場は一時騒然となりました。

  • 発生状況: 系統停電に伴い非常用発電機が自動始動を試みるも失敗。
  • 原因: バッテリー交換を怠り、セル劣化でクランキング不能
  • 被害・影響: ICU/手術室の人工呼吸器・除細動器・医療モニタが一時停止。重症患者を搬送し外部発電機を緊急投入。
  • 対策: 年 1 回のバッテリー全数強制交換/6 か月ごとの負荷運転試験(消防法施行規則第 12 条の 3)/電子履歴管理/遠隔監視システム

📋現場レポート2:避難所「電圧降下で暖房・携帯充電が全停止」

事例要約: 冬の避難所で単相三線 30 kVA 発電機の片側 100 V 系統に暖房ヒーターとスマホ充電が集中。発電機は停止しなかったものの端子電圧が 100 V → 85 Vに低下し、ヒーター・LED 照明が誤停止。苦情・体調不良者が続出しました。

  • 原因: 負荷分散をせず、1 系統にヒーター 1.2 kW × 20 台+急速充電器 15 台を接続し、ピーク約 240 A(85 V 時 ≒210 A)→ AVR 励磁限界。分電盤の 30 A MCCB は定格不足/バイパスで保護動作せず。
  • 影響: 室温低下で高齢者が低体温症に。電話充電不可で連絡が途絶
  • 対策: 事前負荷計算/仮設配電盤で3 系統分散/発電機50 kVA 以上へ増強/UPS・ソフトスタートヒーター併用/端子電圧ログ&ΔV 5 % 警報・10 % で遮断ルール

📋現場レポート3:自治体「燃料管理ミスで通信途絶・行政機能停止」

事例要約: 市役所の災害対策本部用発電機が災害 2 日目に燃料切れで停止。 庁舎の電話・ネットがダウンし、避難指示も一時ストップ

  • 原因: 燃料残量を現場任せにし、日次確認がなく補給遅延。
  • 対策: 燃料計画を策定(100 kVA × 40 kW → 15 L/h を基準)/ スマート燃料計で残量 30 % アラート/交代制補給/日次チェックリスト/ 軽油 1 000 L 超保管は消防法仮貯蔵承認

📑 関連法規・ガイドライン早見表

  • 消防法(第 10 条): 指定数量(軽油 1 000 L など)を超える燃料を 10 日以内に保管・取扱う場合は
    仮貯蔵・仮取扱い承認が必要
  • 建築基準法(第 129 条の 2 の 5): 病院・劇場等における非常用発電設備の設置・維持基準
  • 電気設備技術基準(第 13〜19 条): 接地・絶縁・漏電遮断の義務。
    ΔV 5 % 以内は JEAC 8001 の設計推奨値

※法令は改正される場合があります。最新条文は官報・各省庁サイトでご確認ください。

 

📌発電くんからひとこと!

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