夏場に多い!発電機の事故・トラブル事例と対策【発電くんコラム】
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夏場に多い!発電機の事故・トラブル事例と対策【発電くんコラム】
夏は高温・多湿・雷雨・イベント稼働の増加などが重なり、発電機まわりの事故・トラブルが起きやすい季節です。本コラムでは、現場でこの時期に特に多い失敗を、発電くんと一緒に「原因 → いますぐできる対策」でギュッと整理します。必要に応じて根拠・法令のリンクも付けていますので、社内教育や安全ミーティングにもそのままご利用ください。
① 一酸化炭素(CO)中毒:屋内・テント・車内は絶対NG
事例:災害・イベント時に携帯発電機を屋内やテント入口付近で運転し、短時間で高濃度COにさらされる。密閉度の高い居室では35〜50分でCO 700ppmに到達の検証例も。
根拠・行政の注意喚起:消費者庁・NITEは「屋内では絶対に使用しない」「テントや車内も同等に危険、開口部から十分離して屋外の風通しの良い場所で」と明確に注意喚起しています。
対策:
- 屋外・風通しの良い場所で使用(建物の開口部から離す)。可能ならCO警報器を併用。
- 排気が戻りやすい囲い・テント内・車内・車庫は厳禁。
- 延長運転時は監視員を置き、めまい・頭痛などの自覚症状があれば即停止・離隔・救急要請。
② 給油・燃料の事故:発火・やけど・噴出・保管違反
夏の特性:ガソリンは常温で蒸発しやすく、直射日光・高温環境で膨張・噴出の危険が上がります。保管は消防法に適合した容器(従来の金属製携行缶に加え、2024/3/1以降は要件を満たすガソリン用プラスチック製運搬容器も可)で、直射日光を避けること。
現場ルール(例):「火気厳禁」「給油中エンジン停止」の掲示や消火器配置、漏えい対策などを指導通達で明記。
量の目安(指定数量):ガソリンは200Lが消防法上の指定数量。1/5以上(40L以上)でも条例規制対象となる地域があり、保管方法・届出が変わります(必ず所轄消防へ確認)。
対策:
- 停止後に給油(火気厳禁・静電気対策・消火器準備)。掲示と手順の周知を徹底。
- 容器は消防法適合(例:試験確認表示のある金属製携行缶/UN表示・3H1・10L以下・製造5年以内のプラ容器)。灯油ポリ容器はガソリンに使用不可。
- 高温車内放置を避け、日陰・換気できる場所で保管。
③ 感電・配線過熱:汗・湿気・巻いたまま使用が事故を呼ぶ
夏に増える理由:汗で皮膚抵抗が下がり注意力も低下、200Vなどの低圧でも感電リスクが上昇。仮設配線や工具の取り扱いを夏季重点で教育するよう行政が呼びかけ。
「コードリールを巻いたまま」発熱・発火:許容を超える多重接続や巻いたままの使用で過熱・発火の再現・注意喚起がNITEから。必ず全部引き出して使い、定格(巻いたままの定格は小さい)を守る。
トラッキング・差し込み緩み・被覆破損:プラグやタップのホコリ・水分、踏みつけ等での破損事故が継続報告。点検・清掃・過負荷防止を。
屋外の防水:屋外配線器具はJIS C 0920のIPコードを確認し、雨天使用はIP44相当以上の防水コンセント等を選定(法令義務ではなく安全な選定目安)。
対策(抜粋):
- 漏電遮断器の使用/点検、仮設配線は屋外用・太線を選定、ドラムは必ず全長引き出し。
- 濡れ手・濡れ面での抜き差し禁止、プラグ緩み・変色は交換。
④ 高温による性能低下・停止:「40℃・標高1000m」が一つの設計目安
多くの回転機器は周囲温度40℃・標高1000m以下を前提に設計・運用されます。夏場の直射や熱気だまりでは冷却余裕が小さくなり、保護停止・出力低下・絶縁抵抗の低下などが起こりやすくなります。
対策:
- 直射日光を避け日陰・風通しを確保、吸気口の塞ぎ禁止。
- 定格ギリギリ運用を避け余裕選定(夏負荷・ケーブル電圧降下も考慮)。
- 高温・高標高はメーカーのディレーティング(低減)曲線に従う。
⑤ 雷・台風シーズンの電源保護:サージ対策と「抜く」勇気
基本:落雷時は可能な機器は電源を切ってプラグを抜く。難しい場合はSPD/雷ガードタップ等でサージを低減。
補足:UPSやSPDでも全被害を完全に防げるわけではないため、重要機器は多重対策+系統分離が有効。
【教えて発電くん!現場レポート】8月・屋外イベントで起きたヒヤリ
状況:かき氷機やスポットクーラーを追加し、仮設配線を慌てて延ばした結果、電工ドラムを巻いたままで過負荷。プラグ周りが熱くなり焦げ臭に気づいて停止。
対処:ドラムを全量引き出し、負荷を2系統に分散。屋外用コンセント(IP44相当)に切替、テント外の風通し位置で発電機を再配置。以後、「ドラムは全部出す」を現場KYTに追加。
夏場運用の即実践チェックリスト
- 設置:開口部から離す/日陰・風通し/吸排気クリア。CO警報器併用。
- 配線:屋外はIP44相当、防雨カバー、ドラム全量引出し、過負荷・多重タップ禁止。
- 運転:夏は余裕出力で。異臭・異音・高温表示で即停止・点検。
- 給油:停止後、消防法適合容器(金属携行缶/要件満たすプラ容器)、掲示・消火器・漏えい備え。
- 雷雨:抜ける機器は抜く/SPDや雷タップ活用。
- 人の安全:WBGTや熱中症警戒アラートを確認し、休憩・給水・体調申告体制を整備(2025/6/1〜安衛則改正)。
参考:法令・公的資料リンク(2025年8月29日現在)
- 消費者庁「携帯発電機・ポータブル電源の注意喚起」:2024/8/27、2023/8/29
- NITE「停電時のCO中毒注意」:2021/8/26(PDFあり)
- 東京消防庁:CO中毒防止/可搬形発電設備:CO中毒/可搬形発電設備
- 消防庁 通達(例):給油中掲示・火気厳禁等(2018/12/18)
- 危険物の指定数量:政令・自治体資料(ガソリン200L/1/5は40L)e-Gov/例示資料
- ガソリン運搬容器の改正(2024/3/1施行):消防危第249号/市川市の解説
- MHLW:夏季感電災害の防止(PDF)/熱中症対策の安衛則改正(2025/6/1施行)感電防止/通達(基発0520第6号)
- NITE:配線器具・コード事故の注意喚起/コードリール発火再現(動画あり):月次注意喚起/再現動画
- JIS C 0920(IPコード)の解説:概要/JQA資料
- 回転機の標準環境(周囲40℃・標高1000m)例:TMEIC取説/ABB資料
- 気象庁:雷から身を守る(避難の基本)解説
⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。
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