仮設現場でも必要!10kW以上の可搬型発電機と法令手続き【2025年7月】
- 知識
- 法律

仮設現場でも必要!10kW以上の可搬型発電機と最新法令手続き【2025年7月改訂】
仮設事務所や建設現場、イベント会場など、さまざまな場所で活躍する可搬型発電機。特に12.5kVA~49kVAクラスは、空調や仮設照明、200A~400Aの溶接機などにも幅広く使われています。
「仮設だから届出や資格は不要なのでは?」と現場の方からご相談をいただくことが多いですが、
実は仮設・短期使用でも法令上の手続きや資格は必要です。
(2024年法改正・最新運用通達も反映済み)
「仮設や短期利用なら手続きは不要」と思われがちですが、
出力10kWを超える可搬型発電機は、仮設・常設を問わず 電気主任技術者の選任(電気事業法第43条)や 保安規程の届出(同法第42条)が必須です。
また、配線や燃料タンクの条件によっては消防法の届出や、電気工事士の資格も必要となります。
※2023年・2024年の省令改正により、一部手続き様式の簡素化や電子届出化が進んでいます。
ただし、「移動用保安規程」や「外部委託」など、仮設現場向けの簡素化制度は用意されています。詳しくは本文で解説します。
本コラムでは、現場でよく使われる可搬型発電機の手続きポイントを最新の法令と運用に基づいて、わかりやすく解説します。
10kW以上は「自家用電気工作物」扱いに
定格出力が有効電力10kW(12.5kVA相当)を超える可搬型発電機は、電気事業法施行規則(第46条ほか)で「自家用電気工作物」として扱われます。これにより、
- 電気主任技術者の選任(常勤または外部委託/電気事業法第43条)
- 保安規程の作成・届出(同法第42条、施行規則第56条)
が必須です。これは仮設現場でも例外なく適用されます。
※2024年の法令改正以降、「電気主任技術者外部委託制度」や「移動用保安規程モデル」など仮設現場向けの簡素化運用が強調されていますが、免除ではなく“手続きの簡素化”です。
「仮設」でも手続き免除はない?
「仮設や短期使用なら手続きは不要では?」という誤解が多いですが、出力10kW以上であれば常設・仮設を問わず主任技術者の選任と保安規程届出が必要です。
ただし、移動用発電機向けには「移動用保安規程モデル」(経済産業省通知/令和5年改定)が用意されており、外部委託の電気管理技術者に巡回を委託することもできます。これらは「免除」ではなく、手続きの簡素化です。
工事計画届が必要になるケースは?
工事計画届(電気事業法第48条)は、下記いずれかの条件を満たした場合のみ提出義務が発生します。
- 発電所規模が内燃力10MW(10,000kW)以上
- ばい煙発生施設(燃料消費量がディーゼル等50L/h以上またはガス・ガソリン35L/h以上)
多くの仮設現場で使う12.5~49kVAクラスでは通常どちらにも該当しませんが、複数台設置や大型タンク併設の場合は要注意です。基準を超える場合は、仮設でも工事計画届が必要になります。
※複数台設置の合算やタンク容量の管理方法も、2024年通達で明確化されています。
電気工事士・消防法にも注意!
- 配線が600V以下なら第二種電気工事士でも対応可能(電気工事士法第3条)。
ただし高圧受電や複雑な並列運転を行う場合は第一種電気工事士が必要です。 - 燃料(軽油・ガソリン)の燃料タンク総量が 消防法の指定数量(ガソリン200L・軽油1,000L など)を超える場合は、 仮設でも消防署への届出や許可が必要です。
※ガソリン40L/軽油200L以上は “少量危険物” として火災予防条例の届出対象です。 ※2024年改正で仮設燃料タンクの設置基準・書類様式も一部変更あり
まとめ|仮設現場も法令遵守が大切
仮設現場でも「免除」される手続きは基本的にありません。ただし、移動用保安規程や外部委託を活用すれば、手続きを簡素化できます。
現場ごとに「出力・燃料・配線・設置期間・タンク容量」を整理し、不明点は必ず所轄の産業保安監督部や消防署に事前照会しましょう。
2025年時点では、電子申請(e-Gov)・オンライン相談窓口の活用も推奨されています。