ケーブルの絶縁抵抗ってなに? 教えて発電くん!
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教えて発電くん!ケーブルの絶縁抵抗ってなに?
こんにちは、発電くんです!
今日は現場でもよく質問される「ケーブルの絶縁抵抗」について分かりやすく解説します。
■ ケーブルの絶縁抵抗とは?
絶縁抵抗とは、ケーブルの導体と外部(大地や他の導体など)との間の“電気を通しにくさ”を示す値です。
この数値が高いほど、ケーブルの絶縁性能がしっかりしていて、漏電や感電のリスクが低くなります。
絶縁抵抗値が低下すると、漏電や発火などの重大事故につながる可能性があるため、定期的な点検が大切です。
■ 新品ケーブルの絶縁抵抗値の目安
新品ケーブルの絶縁抵抗値は、ケーブルの種類や長さによって異なります。主な目安は以下の通りです。
ケーブル種類 | 絶縁抵抗値(20℃) | |
---|---|---|
1kmあたり | 長さ3m以下* | |
IV線・CV線 | 50MΩ以上 | 100MΩ以上(参考) |
600Vキャブタイヤケーブル | 40MΩ以上(JIS値) | 10MΩ以上(実測目安) |
計装ケーブル | 100MΩ以上 | 100MΩ以上 |
*1m~3mの短尺ケーブルは km 換算が現実的でないため、実測値で評価します。測定器の上限を超える(∞表示)場合も多く、十分な絶縁性能が確認できます。
なお、温度が10℃上がると絶縁抵抗はおおむね半減します。表の値は20℃基準ですので、実測値は温度換算して評価しましょう。
■ 法令で定められた最低絶縁抵抗値(低圧回路)
「電気設備に関する技術基準を定める省令」第58条では、使用電圧ごとに以下の最低絶縁抵抗値が定められています。
これはあくまで最低ラインです。実務では、後述の管理基準のようにより高い値を設定することで安全率を確保することを推奨します。
使用電圧 | 対地電圧 | 最低絶縁抵抗値 | 主な例 |
---|---|---|---|
300V以下 | 150V以下 | 0.1MΩ | 単相100V回路など |
300V以下 | 150V超 | 0.2MΩ | 単相200V/三相200V回路 |
300V超 | ― | 0.4MΩ | 三相400V系など |
絶縁抵抗値が3MΩを下回る場合は要注意!1MΩ以下は危険レベルです。
※ 上表の最低絶縁抵抗値はケーブルの長さを問わず適用されます。たとえば長さ3 m以下の短尺ケーブルでも、0.1 MΩ/0.2 MΩ/0.4 MΩの基準を下回らないか確認してください。
■ 絶縁抵抗値が低くなる原因は?
- 経年劣化
- 傷や断線、圧迫などの物理的ダメージ
- 湿気や水分の浸入
- 絶縁体表面の汚れや粉じんの付着
これらが原因で絶縁抵抗値が下がると、漏電や感電のリスクが高まります。
■ 絶縁抵抗値の測定方法
絶縁抵抗計(メガー)を使用して測定します。
低圧回路は500V、600V系や高圧ケーブルは1000V以上の試験電圧で測定するのが一般的です。
測定対象は「導体-地間」や「導体-導体間」などです。
■ 現場レポート:絶縁抵抗値が低かったらどうする?
ある現場で600Vキャブタイヤケーブルの絶縁抵抗を測定したところ、2MΩしかありませんでした。
ケーブルの外観を確認したところ、地面との接触部に傷と水分が付着していたため、新品ケーブルへ交換しました。
絶縁抵抗値が3MΩを下回る場合は要注意!1MΩ以下は危険レベルです。
■ 絶縁抵抗値の管理ポイントまとめ
- 新品ケーブルは種類ごとのJIS規格値と法令最低値を確認する
- 定期的に絶縁抵抗を測定する
- 絶縁抵抗値が低い場合は速やかに点検・交換を検討する
- 湿気や水濡れにも注意する
■ よくある質問
- Q. 新品でも絶縁抵抗が低い場合は?
- A. 保管時の湿気などで一時的に低下していることがあります。ケーブルを乾燥させたり温度環境を整えたりすることで回復する場合もあります。
- Q. 絶縁抵抗の測定頻度は?
- A. 年1回以上の点検が推奨されますが、過酷な現場ではより高頻度が望ましいです。
■ まとめ
ケーブルの絶縁抵抗管理は、事故防止や安全な電気使用の基本です。
法令が定める最低絶縁抵抗値と JIS 規格値を把握し、余裕を持った管理基準(3 MΩ以上など)を設定して、定期的な点検と早めの対応を心がけましょう。