発電機に「外部タンク1,000L超」をつなぐときの許可・監視は？
――最短でわかる実務ガイド

（本記事は 2025年9月1日 時点の法令・通達・一般的運用をもとに作成）

「仮設で1,200Lのタンクから発電機に連続供給したい。何の許可？監視は常駐？遠隔でもOK？」――現場からよくいただく疑問を、最短ルートで解説します。

むずかしい条文表現は最小限。判断フロー → 手続き → 必須ハード → 監視 → 運用チェックの順で見ればOK！

まずは30秒｜要点3つ

1. 1,000L超の灯油・軽油（第4類 第2石油類〈非水溶性〉）は指定数量以上。
   → 原則許可制の危険物施設（貯蔵は屋外タンク貯蔵所）。
2. 発電機へ配管で供給する形態は、実務上は多くが一般取扱所として審査。
   ※同一敷地内の構内配管のみで完結する移送は、定義上移送取扱所に該当しない（最終区分は所轄判断）。
3. 監視は給油取扱所＝常駐が原則。
   ただし消防危第316号（2023/11/8）の条件と所轄承認で遠隔監視＋駆け付けへ置換可。（一般／移送取扱所の遠隔可否は所轄の個別判断）

判断フロー｜自分の計画はどれ？

1. タンク容量は？… 1,000L超 ⇒ 許可制（指定数量以上）
2. 何に使う？
   • ① 貯蔵のみ → 屋外タンク貯蔵所（許可）
   • ② 発電機へ配管で供給 → 多くは一般取扱所（構内配管のみは定義上移送取扱所に該当しない）
   • ③ 車両・建機へ直接給油 → 給油取扱所（許可・常駐が原則）

   ※最終区分は所轄消防の審査基準・指導に従います。

手続きとスケジュール

1. 事前協議（消防署。必要に応じ建築・環境部局も）
2. 工事許可申請（図面：配置・配管・防油堤・電気接地・監視体制 等）
3. 許可 → 工事 → 完成検査 → 完成検査済証交付
4. 使用開始（建物用途により防火対象物使用開始届など別制度の届出が必要な場合あり）

📌 仮貯蔵・仮取扱いの承認は原則10日以内（根拠：消防法第10条第1項ただし書／東京消防庁の案内）。

最低限ここは押さえる｜ハード要件（例）

• 防油堤：容量≧（同一防油堤内の）最大タンク容量の 110%、堤高 0.5m 以上、水抜き口は常時閉・施錠
• 液位監視・警報：液位指示・高液面警報・注入側との連絡装置（注入口から計量装置が確認できない場合の連絡装置）
• 高液面時の自動停止：ボール入（ボールチャッキ入り）自動停止弁等の自動停止装置
• 遮断・逆止：立ち上がり配管の遮断弁、逆止弁（過剰注入防止）
• 静電気・落雷対策：接地、等電位、避雷設備（注入口付近の接地確認）
• 消火設備：粉末消火器等（規模や方式により泡設備の指導あり）

※実際の要求は施設種別・規模・地域運用で変わります。必ず所轄と事前協議を。

監視体制｜常駐？遠隔？

• 給油取扱所：常駐監視が原則。ただし消防危第316号（2023/11/8）の全条件と所轄承認で遠隔監視＋駆け付けに置換可（連絡先掲示／速やかな駆け付け体制／流出防止・初期消火資機材／予防規程明記 等）。※通知で明確化されているのは給油取扱所です。
• 一般取扱所／（定義上該当する）移送取扱所：遠隔可否は所轄の個別判断（予防規程・体制・設備の適合性で審査）。

運用チェックリスト（現場で貼れる版）

参考資料・公式リンク（抜粋）

• 指定数量の根拠：第4類・第2石油類（非水溶性）＝1,000L … e-Gov：危険物の規制に関する政令 ／ 大阪市消防局：別表第三 抜粋（PDF）
• 移送取扱所の定義と除外（同一敷地・一団の土地内にとどまる構造は除外）… 松本広域消防局：基準（PDF）
• 屋外タンク貯蔵所の技術基準（防油堤110%・堤高0.5m／連絡装置 等）… 大津市：基準（PDF） ／ 筑後地区消防本部：審査指針（PDF） ／ 山形県：共通仕様書（PDF）
• ガラスゲージ破損時の自動停止（ボール入／ボールチャッキ入り自動停止弁 等）… 大津市（PDF） ／ 奈良市（PDF）
• 給油取扱所の遠隔監視＋駆け付け（条件明記）… 消防危第316号（2023/11/8）
• 仮貯蔵・仮取扱い（承認期間：原則10日以内）… 東京消防庁：手続案内
• 危険物施設の定期点検／保存期間（原則 年1回・記録3年）… 東京消防庁：定期点検 ／ 消防庁：制度概要（PDF）
• 地下タンク・埋設配管／移動タンクの漏えい点検周期（地下は条件により3年、移動タンクは5年）… 消防危第120号（2019/8/27）（PDF）

⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。