可搬型発電機の点検義務と負荷試験の違い 教えて発電くん!
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教えて発電くん!可搬型発電機の点検義務と負荷試験の違い
(最終更新:2025-09-05時点)

発電くん:
「可搬型は“毎回の使用前点検+月次点検”が最低ラインだよ。
非常用(建物設置)は総合点検(年1)+運転性能確認が必要。ここを間違えやすいんだ!」
建設現場やイベントで使われる 可搬型発電機(可搬型の定義はこちら)。
「動けば大丈夫」と思われがちですが、実は法令で定められた点検があります。
さらに、建物に設置される非常用発電設備との違いも知っておくことが大切です。
🔎 用語の整理|本コラムでの「可搬型」
- 可搬型発電機(本稿の用法):
現場間をトラック等で運搬して据え置き使用するタイプ。固定据付(定置式)でも、車輪一体の牽引型・車載一体(移動式)でもないものを指します(JISの区分に基づく要約)。 - JISの区分(要約):
JIS B 8009-1では設置方式を定置式/可搬式/移動式に区分。
可搬式=「定置式でも移動式でもない発電装置」、移動式=「車輪やトレーラ等で一体的に移動可能な発電装置」。 - 法令上の呼称との関係:
電気事業法の実務では、現場で配電に用いる出力10kW以上の内燃機関発電設備は「移動用電気工作物」=自家用電気工作物として手続き(保安規程・主任技術者)対象。
10kW未満は一般用電気工作物の扱い(用途により別の規制はあり得ます)。
⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。
1. 可搬型発電機の点検(法令の最低要件)
- 労働安全衛生規則 第352条:電気機械器具の使用前点検(毎回)が必要(点検事項は条文の表に列挙)
- 労働安全衛生規則 第353条:囲い・絶縁覆いの月1回以上の点検と補修の義務
- 労働安全衛生規則 第351条:絶縁用保護具等は6か月以内ごとの定期自主検査+記録3年保存
- 労働安全衛生法 第45条:政令指定の「機械等」には定期自主検査(記録保存)が課されるが、
可搬型発電機は通常この「政令で定める機械等」には含まれないため、年1回という一律の法定周期は明記されていません。
ただし、安全管理上は社内基準での年次点検(絶縁測定・動作確認等)を推奨します。
⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。
2. 点検の種類(可搬型の実務例)
- 使用時ごと:燃料・オイル・冷却水、ケーブル破損、アース、漏電遮断器の作動確認
- 月次:囲い・絶縁覆いの損傷点検(安衛則353条)
- 半期:絶縁用保護具の定期自主検査+記録保存(安衛則351条)
- 年次(推奨):機能点検・絶縁抵抗・出力確認・警報装置等の自主点検(社内基準)
【現場レポート|GENBA REPORT】
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「法令最低要件+任意の負荷確認」が安心運営のコツでした。
3. 負荷試験の義務はあるの?
ここで誤解されやすいのが負荷試験の有無です。
種類 | 対象法令 | 義務付けられる点検内容 |
---|---|---|
可搬型発電機 (建設現場・イベント用) |
労働安全衛生法・安衛則 | ・使用前点検(毎回:安衛則352条) ・囲い等の月次点検(353条) ・絶縁用保護具の6か月点検+記録保存(351条) ⚠️ 負荷試験の法定義務なし (長時間・高負荷用途では任意の負荷確認を推奨) |
非常用発電設備 (建物設置型) |
消防法(点検基準・要領) | ・機器点検:6か月に1回以上/総合点検:年1回以上 ・運転性能確認は負荷運転 または 内部観察等 ・予防的保全の実施等の条件を満たせば、負荷運転/内部観察等は最長6年に1回 ・ガスタービン原動機は負荷運転不要 |
※ 非常用(建物設置)の制度は建物用途向けの枠組みです。本稿の主題は可搬型につき、詳細は参考リンクをご参照ください。
【Q&A】可搬型を8か月連続で使う場合、点検義務は増えますか?
いいえ、変わりません。法令上は次の3点が継続して求められます:
- 使用前点検(毎回):安衛則352条の点検表
- 囲い・絶縁覆いの点検(月1回以上):安衛則353条
- 絶縁用保護具等の定期自主検査(6か月以内ごと)+記録3年保存: 安衛則351条
例:8か月運用なら、毎回の使用前点検+月次点検×8回+保護具の6か月点検(少なくとも1回)が必要です。
※351条は「6か月を超えて使用しない期間」は除外がありますが、連続使用8か月には適用されません。
⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。
【Q&A】可搬型2kVAと可搬型800kVA、点検義務は同じ?
結論:安衛則に基づく「使用前点検(毎回)」「囲い等の月次点検」「絶縁用保護具の6か月点検+3年保存」は容量に関わらず共通です。
ただし、現場へ配電する運用で出力10kW以上の内燃機関発電設備(例:800kVA)は自家用電気工作物となり、電気事業法の追加義務(保安規程の届出/電気主任技術者の選任等)が必要になります。2kVA級は通常10kW未満に該当し、同追加義務の対象外です。
- 安衛則の最低要件(容量不問):使用前点検(毎回)/囲いの月次点検/絶縁用保護具の6か月点検+記録3年
- 電気事業法の追加(出力10kW以上・現場配電のとき):保安規程届出、電気主任技術者の選任・届出 ほか
4. まとめ
可搬型発電機は「毎回の使用前点検+月次点検」が法令の最低要件で、年1回という一律の法定周期はありません。
一方、建物に設置される非常用発電設備は年1回以上の総合点検が必要で、運転性能確認は負荷運転または内部観察等(条件により最長6年周期)です。
現場の安全確保のため、可搬型でも社内基準での年次点検や任意の負荷確認を取り入れると安心です。
参考リンク(一次情報)
- 労働安全衛生法 第45条/ 労働安全衛生規則(本文)
- 安衛則 第2編第5章(JAISH)/ 第352条の点検表(JAISH)/ 第351~353条 抜粋
- 消防庁:自家発電設備の点検基準・要領(改正周知)/ 東京消防庁:改正のポイント/ 改正リーフレット(PDF)
- 建設現場等で使用する自家用電気工作物 手続き(METI・PDF)/ 移動用電気工作物の手続きページ(METI)/ 移動用電気工作物の取扱い(10kW以上)
⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。
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