2025.10.07
非常用発電機のATS・始動盤が壊れたら?交換の流れと注意点 教えて発電くん!
最終更新日:2025.10.07
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(最終更新:2025年9月25日・日本の法令/公表資料を参照)
非常用発電機のATS・始動盤が壊れたら?交換の流れと注意点
停電時に自動で電源を切り替える装置=ATS(自動切替器)と、発電機を自動始動させる装置=始動盤は、非常用発電機の「要(かなめ)」です。どちらかが壊れると、せっかくの非常用発電機も動かない/電気が届かない状態になることがあります。

発電くんワンポイント
ATS=電気の自動スイッチ、始動盤=「エンジン始動!」の司令塔だよ。
まずは症状チェック
- ATSが故障 → 停電しても発電機へ切り替わらない
- 始動盤が故障 → 発電機が自動で始動しない(手動はできる場合あり)
どちらの症状でも、早めの交換・点検が必要です。
交換の基本ステップ(かんたん版)
- 現地調査:本当に盤の故障か、配線・部品の一部交換で直るかを確認。
- 機器選定:旧型と同一品が入手できないことも多いので、同等以上の仕様で選定。
- 工事計画:工事中の停電時間/仮設電源の要否を打合せ。
- 交換工事+試運転:停電想定テストで「確実に切替・始動」するか確認。
- 届出・記録:必要に応じて消防署や保安関係へ報告、試験記録を保管。
法令のポイント(超ざっくり)
- 消防法:消防用設備の非常電源に関わる場合は、工事前後の届出・報告が必要。点検は機器点検6か月ごとと総合点検年1回が基本です。 東京消防庁:点検報告制度
- 電気事業法:出力10kW以上の非常用発電設備は自家用電気工作物に該当。技術基準適合の維持や電気主任技術者による維持管理が求められます。 近畿経産局:自家用電気工作物とは
- 電気設備技術基準(省令/解釈):配線・接地・保護協調・遮断器など、盤も含めて技術要件に適合させます。 経産省:技術基準の解釈(PDF)
- (参考)切替時間の目安:用途により求められる切替時間の考え方(JISの考え方)があります。重要負荷は要件が厳しめです。 JIS B 8009-12(参考まとめ)
法令で交換部品の届け出義務は?(ATS・始動盤)
結論:ATS(自動切替器)や始動盤を同等品に交換するだけであれば、 部品交換そのものに法令上の「届け出義務」は原則ありません。
ただし、性能・系統・用途に影響する変更がある場合は、届出・報告や試験記録の整備が必要になります。
① 消防法(消防用設備の非常電源に関わる場合)
- 対象:スプリンクラー・非常照明等の消防用設備の非常電源として使う場合
- 必要手続:設置・変更の届出(工事前後)、点検報告(機器6か月/総合年1回)
- ポイント:切替方式や性能が変わる等の性能変更=「変更工事」扱いとなり届出が必要
② 電気事業法(10kW以上=自家用電気工作物)
- 技術基準適合の維持義務(配線・接地・保護協調・遮断器など)
- 電気主任技術者による工事確認・試験・記録の保存
- 大規模な構内系統変更時は管轄保安監督部への手続きが必要になる場合あり
③ その他(参考)
- 建築基準法:非常照明・排煙設備など建築設備の検査対象となる場合あり
- 労働安全衛生法:感電・電気火災防止の作業安全措置
- JIS(例:B 8009-12):切替時間区分の考え方の参考(重要負荷は要求厳しめ)
状況 | 届出・報告 | 実務ポイント |
---|---|---|
部品レベル(リレー・接触器等)の同等交換 | 不要 | 作業安全・交換記録の保存 |
ATS・始動盤の同等品更新(性能・方式不変) | 原則不要(消防用設備の性能不変が前提) | 停電想定試験の実施・試験記録の保存・主任技術者確認 |
切替方式・制御仕様が変わる等の性能変更 | 必要(消防法の変更届/点検報告の対象) | 所轄消防署と事前協議・設計図書更新・性能確認試験 |
母線・遮断器・保護協調を含む系統変更 | 場合により必要(電気事業法上の手続) | 系統設計見直し・主任技術者立会い・保安監督部確認 |
⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最終判断は所轄官庁・保安監督部の公表資料をご確認ください。
現場で失敗しないコツ
- 「安さだけ」で選ばない:将来の部品供給・監視システムとの相性を確認。
- 試運転を見届ける:実際に停電想定で切替→始動→復電までを確認。
- 保護協調の見直し:遮断器・保護継電器の設定は新旧で最適化。
- 点検を継続:交換して終わりではなく、半年・年次点検を継続する(消防法の定期報告)。
フローチャート(交換までの見取り図)
故障発生
↓
専門業者が診断(盤 or 周辺部品の特定)
↓
機器選定(同等以上・将来の部品供給も考慮)
↓
工事計画(停電時間/仮設電源/届出段取り)
↓
交換工事 → 試運転(停電想定で切替確認)
↓
届出・記録提出 → 定期点検へ
よくある質問
- Q. うちのビルは消防の届出が本当に必要?
- A. 消防用設備(スプリンクラー・非常照明など)の非常電源に関わるなら届出・報告が必要です。管轄消防署の案内ページや消防庁の資料を確認しましょう。 東京消防庁:点検報告制度
- Q. 自家用電気工作物かどうかはどこで分かる?
- A. 10kW以上の非常用発電設備は原則「自家用電気工作物」です。設置者の責務や定義は経産省(近畿経産局ページなど)の解説が分かりやすいです。 近畿経産局:自家用電気工作物とは
- Q. 技術的に何を守ればいい?
- A. 「電気設備技術基準」とその「解釈」に適合させるのが基本です(配線・接地・保護協調など)。 経産省:技術基準の解釈(PDF)
参考リンク(公式中心)
- 東京消防庁:消防用設備等点検報告制度
- 総務省消防庁:点検報告制度リーフレット
- 総務省消防庁:非常電源(自家発電設備) 点検の留意事項
- 経済産業省:電気事業法 概要(技術基準適合の維持義務)
- 経済産業省:電気設備の技術基準の解釈(PDF)
- 近畿経産局:自家用電気工作物とは
- (参考)JIS B 8009-12:非常用発電装置の切替時間分類の考え方
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