2025.10.10

教えて発電くん!なぜ日本は「50Hz/60Hz」があるの?〜発電史の珍事件〜

最終更新日:2025.10.10
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教えて発電くん!なぜ日本は「50Hz/60Hz」があるの?〜発電史の珍事件〜

教えて発電くん!なぜ日本は「50Hz/60Hz」があるの?〜発電史の珍事件〜

情報の更新日:2025年10月7日(火)

発電くん(公式イラスト)
発電くんがやさしく解説するよ!

こんにちは、発電くんです!
現場でもよく聞かれる質問のひとつが「なんで日本って50Hzと60Hzがあるの?」。 実はこれ、世界的にも珍しい“電気の分岐点”なんです。
今回は、発電くんと一緒に「歴史 × 技術 × 現場知識」で楽しく解説していきます!⚡


第1章:はじまりは“輸入元の違い”だった!

明治時代、日本に初めて発電機が導入されたとき、東京と大阪が別ルートで海外から発電機を輸入したことがきっかけでした。

  • 東京電灯(現在の東京電力の前身の一つ)→ 1895年にドイツ・AEG社製 50Hzを採用
  • 大阪電灯(現在の関西電力の前身の一つ)→ 1896年にアメリカ・GE社製 60Hzを採用

参考:電源周波数(Wikipedia)日本の電気事業(Wikipedia)

発電くん

発電くんのひとこと: 「わずか1年の差で、別メーカーを選んじゃったのがすべての始まり! 当時はまだ地域ごとに電力が独立してたから、“まぁ東京はドイツ方式で、大阪はアメリカ方式でええやん”って感じで進んじゃったんだ。」

第2章:周波数の違いは“回転数の違い”

発電機の周波数(Hz)は、コイルの回転数と極数で決まります。式にするとこう👇

f(Hz)=(回転数 [rpm] × 極数)/120

  • 2極機で3000rpm → 50Hz
  • 2極機で3600rpm → 60Hz
  • 4極機で1500rpm → 50Hz
  • 4極機で1800rpm → 60Hz

参考:6極=1000/1200rpm、8極=750/900rpm(いずれも同期速度)。
※ エンジン直結の同期発電機は基本的にこの回転数に合わせます。インバータ発電機は内部で周波数を作り直すため、エンジン回転数と出力周波数は必ずしも一致しません。

参考:同期速度(Wikipedia)

つまり、同じ構造でも回転数が違えば周波数も変わるんです。 これが燃費・音・整備・互換性などに影響して、機器も「50Hz仕様」「60Hz仕様」と分かれるようになりました。

第3章:なぜ統一できなかったの?

戦後の復興期、「全国で統一しよう!」という議論もありました。 でも、現実的にはこんな理由で見送りに👇

  • 全国の発電所・工場・家電の入れ替えコストが巨額
  • 稼働中設備を止められない
  • 周波数変換所(変換設備)で相互融通が可能になった

その結果、「統一せず変換所で橋渡し」という日本独自のスタイルが定着しました。 現在は静岡県富士川付近を境に、新信濃・南福光・東清水・佐久間などの変換所が東西をつないでいます。

参考(各設備の解説): 新信濃(飛騨信濃FC:東京電力PGリリース)東清水(中部電力:プレスリリース)佐久間(J-POWER:送変電事業紹介)南福光(Power Academy現地レポート)

 

50Hz
東日本(主に)
60Hz
西日本(主に)

富士川(目安)
糸魚川(目安)

※ 実際の供給は自治体・配電区で異なる場合があります(概念図)
▲ 日本の50Hzと60Hzエリア(概念イメージ)。目安は静岡県の富士川新潟県の糸魚川を結ぶライン。境界付近は混在地区あり。
参考:中部電力パワーグリッド:地域と周波数シャープ:電源周波数の見分け方

第4章:現場の注意ポイント

  • 可搬発電機には50Hz固定・60Hz固定・切替式がある
  • 地域と異なるHz機を使うと機器が誤動作・故障することも
  • インバータ発電機なら周波数を再生成できるので東西どちらでもOK
    ※ 機種によっては「50/60Hz設定」の切替が必要。取扱説明書の「出力周波数」欄を確認しましょう。

発電くん

発電くんの現場アドバイス: 「現場に着いたらまず“ここ何Hz?”を確認! イベント・仮設電源・非常用運転では特に大事だよ!」

第5章:ざっくり整理表

地域 周波数 由来 主な電力会社
東日本 50Hz ドイツ AEG社(1895年) 東京電力・東北電力・北海道電力 など
西日本 60Hz アメリカ GE社(1896年) 関西電力・中国電力・四国電力・九州電力 など
※ 中部は主に60Hzだが、境界周辺に50Hzの供給地区がある(例:静岡県の一部 ほか)。中部電力ミライズ:電源周波数

💡まとめ: 日本の「50Hz/60Hz」文化は、発電機の輸入元の違いと、その後の設備コストが大きな要因。 世界でも珍しい“二つの電気文化”が今も共存しているんです!

最近のトピック(連系強化)

東清水・佐久間地点では、連系容量を増強する計画(自励式VSC装置の増設等)が進行中で、2027年度末の運用開始を目指しています(運用開始後は東京〜中部間のFC容量が210万kW → 300万kWへ)。
参考:電力広域的運営推進機関(OCCTO)資料日立エナジー:東清水案件

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