2025.11.12

教えて発電くん!:発電機のブレーカーが落ちる原因と対策(実務版)

最終更新日:2025.11.27
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教えて発電くん!:発電機のブレーカーが落ちる原因と対策(実務版)

発電機のブレーカーが落ちる原因?|教えて発電くん!

最終更新:2025年11月12日(日本時間)

現場で発電機のブレーカーが落ちたときに、「まず何を見るか」「何から切り分けるか」をコンパクトにまとめた実務向けガイドです。

⚡【結論】発電機のブレーカーが落ちる主な原因は6つ

可搬型・移動式発電機でブレーカーが落ちる原因は、おおよそ次の6つに整理できます。

  • ① 過電流 … 容量オーバー・突入電流・長尺ケーブルによる電圧降下
  • ② 漏電・地絡 … 機器やケーブルの絶縁不良・水濡れ
  • ③ 短絡(ショート) … 配線ミス・ケーブル損傷
  • ④ 電圧・周波数の異常 … 突入によるドロップ・エンジン不調
  • ⑤ 接地方式・結線の問題 … 独立電源としての接地不備・N-PEの扱いミス
  • ⑥ ブレーカー自体の劣化・故障 … 内部接点の摩耗・湿気・振動

どれに当てはまりそうかを見るために、最初に確認することは3つだけです。

🔍 まず確認するのはこの3つだけ

  1. どのブレーカーが落ちたか?
    ─ 発電機本体(MCCB)/漏電遮断器(ELCB・RCD)/負荷側ブレーカー
  2. どの機器をつなぐと落ちるか?
    ─ 特定の機器だけか、全体で落ちるか
  3. 危険な異常がないか?
    ─ 焦げ臭・異音・焼け跡・ケーブルの発熱・プラグ溶融があれば
    すぐ停止し、再投入しない

ここまでで「どの系統」「どの負荷が怪しいか」がおおよそ見えてきます。


🧩 原因別:現場でできる対策の要点

① 過電流(MCCB/過電流保護)

  • 総負荷が発電機の定格kVAを超えている。
  • モーター・コンプレッサ・ポンプ・一斉点灯などの突入電流が重なっている。
  • 細く長いケーブルで電圧降下 → 電流増加が起きている。

対策:
・発電機は定格の70~80%を目安に負荷計算。
・モーター負荷は一台ずつ時間差で始動させる。
・ケーブルは「太く・短く」、ドラムは必ず全て引き出す
・足りなければ、上位容量の発電機に切り替え。

② 漏電・地絡(ELCB/RCD)

「雨上がりだけ落ちる」「この機器をつなぐときだけ落ちる」といった症状は、このパターンが多いです。

  • 屋外照明・仮設盤・延長ケーブルの水濡れや絶縁劣化。
  • コネクタ内部の水滴・汚れ・緑青。
  • N-PEの誤結線、二重接地。

対策:
・怪しい系統を切り離して絶縁測定(500Vメガ)。基準未満は交換。
・プラグ・コネクタを乾燥させ、汚損・劣化品は交換。
N(中性線)とPE(保護接地)の分離・結線を確認。
・屋外は防水コネクタ・防水分電盤を使用。

⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。

③ 短絡(ショート)

「入れた瞬間に必ず落ちる」「何度入れても一瞬で落ちる」ならショートの可能性が高いです。

  • 配線ミス・圧着不良。
  • ケーブルの挟み込み・釘打ちによる心線露出。

対策:
・ブロックごとに分けて導通チェック。
・損傷ケーブルは必ず交換(テープ巻きだけで使わない)。

④ 電圧・周波数の異常

  • 大きな突入で電圧が落ちて、MCCBに不足電圧トリップ(UVR)機能が付いている場合はそれが作動することがある。
  • ガバナ不良・燃料系トラブルなどで周波数が下がり、機器側保護が動作。

対策:
・大きな負荷は順番を決めて段階投入。
・エンジン回転数(周波数)・フィルタ・燃料系を点検。
・必要に応じて回路分割やフェーズ分散で負荷を平準化。

⑤ 接地方式・結線の問題

  • 独立電源としての接地不足(外箱・機器外箱・機能接地)。
  • N-PE結合点が複数あり、RCD誤動作や感電リスクが増加。

対策:
・可搬形発電機では外箱・負荷機器外箱・機能接地を適切に施工。
・メーカーの接地方式・配線例を確認し、それに従う。

⑥ ブレーカー自体の劣化・故障

  • 内部接点の摩耗・焼損。
  • 屋外使用により湿気・振動で機構が不安定。

対策:
・定期点検時に作動試験を行い、使用年数が長いものは交換を検討。
・同じブレーカーだけ頻繁に落ちる場合は、負荷側と合わせて機器診断。

🏗 シーン別:現場で意識したいポイント

建設現場(屋外・湿潤)

  • 雨天・雨上がりのトリップはコネクタ・仮設盤内の水分が多数。
  • 延長ドラムを巻いたまま使うと、発熱・電圧降下・漏電リスクが一気に増える。

イベント電源(照明・音響)

  • LED電源・調光器の高調波でRCD誤動作や過電流が起きることがある。
  • 音響と照明は回路を分けるとトラブルが減りやすい。

モーター・ポンプ・コンプレッサ・溶接機

  • 始動電流は定格の5~7倍が目安。必ず単独始動→安定後に次の機器とする。
  • 溶接機は専用回路+太線ケーブル+発電機近接配置が基本。
  • インバータ機器使用時は、メーカー推奨のRCDタイプを選定。

✅ 一枚にまとまる:簡易チェックリスト

  1. どのブレーカーが落ちたか確認(本体MCCB/RCD/負荷側)。
  2. 焦げ・異臭・発熱・水濡れ・プラグ溶融がないか確認。
  3. 主ブレーカーを戻し、負荷を一台ずつ入れて「落ちる機器」を特定。
  4. 延長や分岐を減らし、「太く短い」ケーブル構成にして再確認。
  5. 怪しいケーブル・機器は絶縁測定し、基準未満は交換。
  6. 接地とN-PE結線を確認(独立電源として適切か)。

📘 補足:最低限おさえておきたい用語

MCCB(配線用遮断器)
過電流・短絡を検出して回路を遮断するブレーカー。発電機本体や分電盤のメインに使われる。
ELCB/RCD(漏電遮断器)
漏電・地絡を検出して人を感電から守るブレーカー。屋外・湿潤環境では必須。
N-PE(中性線と接地線の結合点)
N=中性線(電流の戻り道)、PE=保護接地線(アース)。
一般に、電源系統ごとに中性線と接地線を結ぶポイントは1か所に限定するのが原則で、
可搬形発電機ではこの扱いを誤ると、保護装置の誤動作や感電の原因になる。

📝 発電くんの現場レポート

発電くん

症状:雨上がりに照明系統だけRCDが頻繁にトリップ。

切り分け:
照明をゾーン分割して確認したところ、屋外ハンガー照明の分岐で再現。
プラグ内部に水滴が残っており、延長ドラムは半分巻いたまま使用されていた。

対策:
ケーブルを乾燥・一部交換し、防水コネクタへ更新。
ドラムは必ず全量繰り出して使うルールに変更。

結果:
トリップは解消し、発電機負荷率も最大約75%に収まり安定運用が可能になった。

❓ FAQ(よくある質問)

Q1. ブレーカー容量だけ大きくすれば落ちなくなりますか?

A. ブレーカーだけ大きくすると、配線や機器の許容電流を超えてしまい非常に危険です。
発電機容量の見直しや回路分割・投入手順の整理で対応してください。

Q2. RCDが時々誤動作します。感度を鈍くしても大丈夫?

A. 感度を鈍くすると感電防止性能が下がります。
まずは漏れ電流の原因を取り除き、それでも問題がある場合は専門家に相談のうえで選定・設定を検討してください。

Q3. インバータ機器でブレーカーが落ちやすいのはなぜ?

A. 高周波成分による漏れ電流・高調波でRCDが動作したり、見かけの過電流が増えるためです。
メーカー推奨のRCDタイプ選定・ノイズ対策・回路分割などが有効です。



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