海外製ケーブル・スコットトランスは日本で使える?IEC規格と日本の電気基準・PSEの考え方 教えて発電くん!
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教えて発電くん!海外製ケーブル・スコットトランスは日本で使える?IEC規格と日本の電気基準・PSEの考え方
※本記事の法令・基準等の情報は、2025年12月5日時点で入手可能な公開資料をもとに作成しています。

教えて発電くん!今日のテーマ
海外の会社さんから、こんな相談を受けることがあります。
「ケーブルやスコットトランスは海外で買って持ち込んだ方が安いよ」「IEC規格品だから日本でも使えるはず」…。
本当にそのまま日本で使って大丈夫なのか、今日は発電くんと一緒に整理していきます。
大規模イベントや海外案件の打ち合わせで、海外の企業から次のような提案を受けることがあります。
- 「ケーブルやスコットトランスは海外で買って、日本に持ち込んだ方が安い」
- 「うちの機材は IEC 規格適合だから、日本でもそのまま使えるはず」
しかし、日本で実際に使えるかどうかは IEC 規格だけでは決まりません。
日本には「電気用品安全法(PSE)」「電気設備に関する技術基準(電技)」など、独自の法令・技術基準があります。
⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁(経済産業省・消防庁など)の公表資料・法令データベースをご確認ください。
1. IEC規格と日本の電気基準はイコールではない
IEC規格は国際的な「標準仕様」ですが、日本で優先されるのは 日本の法令(電気用品安全法・電気事業法など)とそれに基づく技術基準です。
日本の JIS や電気設備技術基準は IEC を参考にしつつも、
- 電圧区分(低圧・高圧の境界)
- 接地方式・接地抵抗値
- 電線の色分け
- コンセント・プラグ形状
など細部が日本向けに調整されています。
そのため、「IEC適合=日本でもそのままOK」ではない点が最初の重要ポイントです。
2. 2CT・2PNCTケーブルはPSEの対象ど真ん中!
2-1. PSE対象の「電線・ケーブル」
建設現場やイベントでよく使われる 2CT・2PNCT(ゴムキャブタイヤケーブル)は、 日本では電気用品安全法の「電線・ケーブル」区分として扱われます。
PSE対象の電気用品は、
- 日本の技術基準に適合していること(構造・絶縁・表示など)
- 製造・輸入事業者が自ら適合性を確認すること
- PSEマーク・事業者名・定格などを表示すること
が義務づけられています。
2-2. 誰が「輸入事業者」になるか
海外製ケーブルを使うときのカギは、誰が日本に持ち込むかです。
- 海外企業が自社で購入し、自社案件のために日本へ持ち込む ⇒ その海外企業が輸入事業者となり、PSEの義務を負う立場になります。
- 日本の会社が輸入して、日本の現場で使用・レンタルする ⇒ その日本の会社が輸入事業者としての責任を負います。
「海外で安く買えたからOK」ではなく、輸入事業者として法令を守るのは誰かが必ず問われます。
2-3. IEC表示だけでは不十分
H07RN-F など IEC規格準拠ケーブルは海外では一般的ですが、
- 日本の技術基準と細部が一致しているとは限らない
- 日本の PSE マーク・事業者名表示がない
といった理由から、「IEC適合=PSEクリア」にはなりません。
教えて発電くん!
「IEC規格だから安全でしょ?」と言われたら、
→ 「安全性の参考にはなるけれど、日本にはPSEという別の法律があるので、IECだけでは使えるとは言えません」と説明するのがポイントだよ。
3. スコットトランスはPSE外でも「電技」のチェックが必要
3-1. スコットトランスとPSE
スコットトランス(スコット変圧器)は、三相から単相2回路を取り出す据置変圧器で、 容量も10〜数百kVA級が一般的です。
電気用品安全法で対象となるのは主に小形単相変圧器(500VA以下クラスなど)であり、
イベント用、工事用スコットトランスの多くはPSEの直接対象外になります。
3-2. 代わりに見るべき基準
その一方で、大規模イベントの仮設電源として使う場合は、
- 電気事業法に基づく「電気設備に関する技術基準(電技・解釈)」
- 非常用電源として使う場合の消防法・建築基準法の要求
などに適合しているかを確認する必要があります。
絶縁階級・温度上昇・クリアランス・接地方式・保護協調などを、図面・試験成績書で日本側に説明できるかどうかがポイントです。
教えて発電くん!
「スコットトランスはPSE対象外だから自由に持ち込める?」
→ PSEの枠外でも、電技や消防法の要求を満たしていることを説明できないと、検査や現場承認で止まるリスクが高いよ!
4. コストの罠:2PNCT 70sq を30万m使う場合
4-1. 物だけ見ると海外が安く見える
例えば、2PNCT 70sq を合計30万m使うケースを仮定すると、
- 国内価格:5,000円/m とすると 約15億円
- 欧州メーカー品:4,000円/m で調達できれば 約12億円
- アジア圏の低価格品:2,500円/m で調達できれば 約7億5,000万円
このように、材料単価だけを比べると、海外製、とくにアジア圏の低価格品などは かなり魅力的に見えることがあります。
※上記の金額は、仕組みを説明するための仮の例であり、実際の価格や相場を示すものではありません。
4-2. 「日本で使える状態」にするコスト
しかし実際には、たとえアジア圏などの低価格品で材料単価を大きく下げられたとしても、 日本で安全に使える状態にするまでには次のような手間とコストがかかります。
- 輸送・通関・国内配送の費用
- PSEや日本技術基準への適合確認(試験・書類・翻訳)の手間とコスト
- 元請・主催者・会場・電気主任技術者への説明負荷
- 検査NG・トラブル時の代替手配やイベント中止リスク
といった「見えないコスト」が上乗せされます。
特に「止められないイベント」では、安さよりも、日本仕様での実績・説明のしやすさを優先する方が結果的に安全で現実的です。
5. 実務でのおすすめスタンス
5-1. 日本側としての基本方針
- ケーブル:日本でPSEを取得した2CT・2PNCTを基本とする
- スコットトランス:国内メーカー・日本市場向け仕様で実績のある機種を優先
- 海外企業が自前で機器を持ち込む場合は、輸入者の責任範囲と、日本側の接続範囲を契約と図面で明確化する
5-2. 関連法令・参考リンク
詳細な要件や最新の改正状況は、必ず一次情報をご確認ください。
発電機選定・ケーブル計画でお困りの方へ
イベントや海外案件で、
- 「この電源構成で日本の基準的に大丈夫?」
- 「ケーブルサイズや本数、スコットトランス容量はこれで良い?」
- 「海外企業からの提案を、日本の法令目線で整理したい」
といったお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
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