【教えて発電くん!|発電機トラブル事例】PC・UPS・ネットワーク機器を多数つないだら、発電機の漏電ブレーカ(30mA)が落ちた!
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【教えて発電くん!|発電機トラブル事例】
PC・UPS・ネットワーク機器を多数つないだら、発電機の漏電ブレーカ(30mA)が落ちた!?
工事現場・イベント会場・仮設オフィスでよく起きる典型的なトラブル。
「朝の立ち上げで発電機の漏電ブレーカが落ちる…!」という現象は、
実は “情報機器の大量接続” が原因で発生することがあります。
今回は、このしくみを発電くんが分かりやすく解説します。
※本コラムは2025年12月5日時点の法令・技術資料をもとにした一般解説です。
実際の設計・設定変更は必ず電気工事士・電気主任技術者など有資格者が行ってください。
1.トラブル発生:朝の起動で発電機メインELBが“バチン!”
とある建設現場の仮設事務所(ユニットハウス)でのこと。
発電機を起動し、室内のブレーカを入れて機器の電源を一斉に入れたところ――
※本記事では、発電機のメイン漏電遮断器を「ELB(Earth Leakage Breaker)」と表記します。
🧑🔧 現場スタッフ:
「バチンッ!…あれ、発電機のメインの漏電ブレーカ(30mA)が落ちた!」
「雨も入ってないし、配線もショートしてないのになんで?」
配線・コンセント・分電盤を点検しても、目立った損傷や水濡れは見当たりません。
それでもELBが落ちる原因は、情報機器の“総漏えい電流”にありました。
2.現場の実態:情報機器が多数稼働 → 微小な漏えい電流が積み上がる
仮設事務所内では、次のような機器が多数使用されていました。
- PC:20台
- 液晶モニタ:20台
- UPS:5台
- ルータ・L2スイッチなどネットワーク機器:5台
- 複合機:1台
ここで重要なのは、「どの回路に集中していたか」ではありません。
これらすべてが持つ微小な漏えい電流が “合計” されることが問題の本質です。
💡 情報機器にはノイズフィルタ(Yコンデンサ等)が入っており、
正常な状態でも数百µA〜数mAの漏えい電流が存在します。
3.原因:総漏えい電流が30mAを超えたことによるELB動作
3-1.概算モデル(説明用の代表値)
取扱説明書などの仕様値を確認し、説明用として安全側に下記のように仮定します。
- PC:0.7mA × 20台 = 14mA
- モニタ:0.5mA × 20台 = 10mA
- UPS:1.5mA × 5台 = 7.5mA
- ネットワーク機器:0.5mA × 5台 = 2.5mA
合計:34mA
さらに、長い仮設ケーブルの静電容量による漏れが数mA加わる場合もあり、
実質としては40mA前後に達する可能性があります。
⚠️ 発電機のメイン漏電遮断器(30mA)は、
どの回路にどれだけ機器が分散していても、「大地に流れる漏えい電流の合計」が30mAを超えれば必ず動作します。
つまり原因は、総漏えい電流が30mAを超えていたことであり、
「特定の1回路に集中していたから落ちた」というわけではありません。
4.「回路を分散すれば直る」は誤解。根本原因は変わりません
現場では応急対応として、情報機器を2つの回路に分けて接続し直しました。
その結果、朝の起動時にELBが落ちる頻度は減りましたが、発電くんはこう説明します。
⚠️ 回路を分けても、発電機メインELB(30mA)が監視しているのは
「全体の漏えい電流の合計」です。
総量が30mAを超えれば、何回路に分かれていても必ず落ちます。
回路分散によって
- UPSの整流・切替タイミングがずれる
- PCの起動タイミングが重なりにくくなる
- ノイズ性の漏れ電流のピークがぶつかりにくくなる
といった効果があり、「落ちる頻度が減る」ことはあります。
しかしこれは、あくまで運用上の緩和策に過ぎず、
総漏えい電流>30mAという根本原因はまったく変わっていません。
5.本当の改善策(※必ず有資格者と相談)
根本的な再発防止を考える場合は、次のような対策が必要です。
- UPSの台数削減・機種見直し
UPSは構造上、漏えい電流が比較的大きくなりがちです。
台数が多い現場では、まずUPS構成の見直しを優先して検討します。 - 発電機メインELBの感度適正化(30mA → 60mA など)
仮設用途・電圧区分・負荷特性などに応じて、
適切な感度に見直せないかを電気主任技術者と協議します。
※むやみに感度を下げると、今度は「本当に危険な漏電」を見逃すおそれがあります。 - 中性点接地(N-PE)の確認と適正化
発電機の中性点処理や接地方法によって、漏えい電流の流れ方が変わります。
接地工事や結線方法は、電気設備技術基準の対象であり、
必ず有資格者による設計・施工が必要です。 - 仮設電源計画を「台数+漏えい電流」を前提に行う
情報機器を多数使用する現場では、消費電力(kVA)だけでなく、
機器ごとの漏えい電流とその総量も設計段階から確認することが重要です。
⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。
※漏電遮断器の感度変更・接地工事・中性点処理の変更などは、
電気設備に関する技術基準や電気用品安全法などに関わる可能性があります。
無資格での作業や独自判断での改造は行わず、必ず有資格者・専門家と協議してください。
6.現場で使えるチェックリスト
- PC・UPS・ネットワーク機器・複合機など情報機器の台数を把握する
- 各機器の仕様書に記載された漏えい電流の値を確認する
- 概算でもよいので総漏えい電流が30mAを超えないかを確認する
- 発電機メインELBの感度電流(多くは30mA)を把握しておく
- 情報機器が多い現場では、事前に発電機レンタル会社・電気担当者と打合せを行う
PCは軽負荷でも、漏えい電流が軽いとは限りません。
台数が増えれば、総漏えい電流が30mAを超えてメインELBが動作することも十分あり得ます。
「なんとなくブレーカが落ちる」状態を放置せず、原因を整理して対策することが重要です。
7.PC以外にも漏えい電流が多い機器があります(重要)
漏電ブレーカが落ちる原因は「PC」だけではありません。
実際には、構造上正常でも漏えい電流が発生する機器が数多く存在します。
これらが多数使われる現場では、合算された漏えい電流が30mAを超えやすくなります。
7-1.漏えい電流が多い機器の代表例
- UPS(無停電電源装置)
構造上もっとも漏えい電流が大きい機器の一つで、小型でも1.5mA前後、
ラックマウント型などでは10mA超となるケースもあります。 - インバータエアコン
インバータ回路+フィルタにより、3〜5mA/台程度の漏えい電流が発生する場合があります。 - LED照明(スイッチング電源方式)
1〜3mA/台程度。照明数が多い現場では、総量が無視できないレベルになります。 - 複合機・レーザープリンタ
高圧ユニットを持つため、3〜6mA前後の漏えい電流となることがあります。 - ネットワーク機器(L2SW・ルータ・PoE機器など)
小型機器でも0.3〜0.7mA程度。台数が多いと合算値が効いてきます。 - ACアダプタ全般(スイッチング電源)
ノートPC・監視カメラ・ONUなど、1〜2mA/台程度の漏えい電流を持つことが一般的です。 - 長距離の仮設ケーブル(静電容量による漏えい)
CVT・VCT・キャブタイヤなどを50〜100m以上引き回すと、
数mA〜10mA程度の容量性漏れ電流が発生することがあります。
⚠️ 重要ポイント:発電機のメインELB(30mA)は、
これらすべての漏えい電流の“合計値”で動作します。
どの回路に分けても、総漏えい電流が30mAを超えれば必ず落ちます。
このように、PC以外の要素――特にUPS・インバータ機器・LED照明・長いケーブル――は、
発電機現場の漏電トラブルを引き起こす主要因となることが多いため、
事前の把握と設計が非常に重要です。
8.参考リンク(法令・技術資料)
詳細な法令・基準については、必ず一次情報をご確認ください(いずれも外部サイト)。
リンク先の更新日・改正履歴もあわせてご確認ください。
- 電気用品安全法(e-Gov法令検索)
- 電気用品安全法施行規則(e-Gov法令検索)
- 経済産業省「電気用品安全法の概要」
- 経済産業省「電気用品安全法令・解釈・規定等」一覧
- 電気設備に関する技術基準を定める省令(e-Gov法令検索)
- 経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」PDF
※上記リンクは、2025年12月5日時点で公開されている情報をもとに掲載しています。
閲覧時期によっては改正・更新されている場合がありますのでご注意ください。

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