2025.12.17

教えて発電くん!3つのポイントでわかる 発電機(非常用・可搬型)と騒音規制法

最終更新日:2025.12.19
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教えて発電くん!3つのポイントでわかる 発電機(非常用・可搬型)と騒音規制法

教えて発電くん!3つのポイントでわかる 発電機(非常用・可搬型)と騒音規制法

発電機をレンタル/購入/非常用点検で動かす前に、「苦情が来ないか」「法規制の対象か」を3つのポイントで整理します。

  • 夜間・早朝に発電機を回す予定。近隣クレームが心配…
  • 可搬型(移動式)発電機なら、騒音規制法の届出は不要?
  • 工事現場・イベントで仮設電源を組むとき、どこに確認すればいい?

先に結論: 発電機の騒音トラブルは、まず「敷地境界でのdB(基準)」と、次に「届出が必要なルート(特定施設/特定建設作業)」、最後に「深夜・会場ルール等の運用」を押さえるとブレません。
騒音規制法は「発電機の型番そのもの」を狙い撃ちするより、工場・事業場の設備(特定施設)として規制する仕組みです。
そのため、発電機が絡む案件でも“発電機の置き方・運転時間”がまず重要で、加えてコンプレッサ・送風機などの補機特定施設に当たるかで、届出が必要になることがあります。

📅 本コラムは、2025年12月19日現在の法令(e-Gov法令検索)および環境省・自治体の公表資料をもとに作成しています。

⚠️ 法令・通達、自治体条例は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。


まず全体像:発電機の「騒音トラブル」は、基準(dB)×届出×運用の掛け算で起きる

教えて発電くん

発電くん:
「発電機の騒音は、①境界dB(基準)②届出(ルート)③深夜・会場ルール(運用)の順で整理すると早いよ!
“発電機だけ静か”でも、置き方補機でハマることが多いんだ。」

  • 騒音規制法は、指定地域にある工場・事業場等から出る騒音を規制する仕組み
  • 一定の設備は「特定施設」として施行令の別表で列挙され、届出等の対象になる
  • 発電機(非常用・自家発・可搬型)そのものは、施行令別表に「発電機」という名称で列挙されていない
  • ただし、発電機と一緒に置かれやすい空気圧縮機(コンプレッサ)・送風機などが特定施設に該当する場合がある
  • 規制の判定は原則、敷地境界での騒音(dB)で行い、区域・時間帯で基準が変わる

ポイント1:何が「規制の対象」になるの?(発電機が絡むときの“判断ポイント”)

発電機設備(非常用発電機・自家発・可搬型発電機)のエンジン+発電機本体が、騒音規制法の「特定施設」として条文に名称つきで出てくるわけではありません。
ただし、発電機案件でも次のどちらかに当たると、届出・基準確認の優先度が上がります。

  • (A)発電機が“常設・実質固定”の設備として扱われるケース
    例:建物敷地内で長期間同じ位置に据え置き、常用・定期運転が続く(非常用点検を含む)
  • (B)発電機と一緒に入る“補機”が特定施設に当たるケース
    例:コンプレッサ・送風機・破砕機など(施行令別表の該当有無を確認)

発電機と一緒に要チェックになりやすい代表例(補機)

  • 空気圧縮機(コンプレッサ)
    原動機の定格出力が7.5kW以上のもの(※「一定の限度を超える大きさの騒音を発生しないものとして環境大臣が指定するもの」を除く)
    ※補足:除外指定の扱いは更新される可能性があります。迷う場合は、仕様書(定格出力kW)を添えて所轄自治体へ事前確認が確実です。
  • 送風機
    原動機の定格出力が7.5kW以上のもの

こういった特定施設を設置している工場・事業場は、法律上の「特定工場等」に該当し、指定地域内では騒音規制の対象になります。

「可搬型・移動式」なら全部セーフ?(“置きっぱなし”が危ない)

工事期間だけの仮設利用など、移動を前提として実態として固定されていない場合は、届出が不要となるケースもあります(ただし設置の実態によります)
ただし次のように実質固定(置きっぱなし)と見られる運用だと、判断が変わる可能性があります。

  • コンテナ型発電機を、同じ位置に長期間設置して常用している
  • 発電機と一体で扱う補機(送風機等)が、固定設備のように継続運転されている

「移動式だから大丈夫」とは言い切れません。最終判断は所轄自治体(環境・公害担当)へ事前確認するのが安全です。


ポイント2:どのくらい静かにすればいい?(敷地境界のdBと、発電機の“カタログdB”のギャップ)

特定工場等から出る騒音は、原則として敷地境界での音の大きさ(dB)で規制されます。
国の基準(告示)では、区域(第1〜4種)×時間帯(昼間/朝・夕/夜間)で、自治体が定めるべき規制基準の範囲が示されています。

区域 昼間(範囲) 朝・夕(範囲) 夜間(範囲)
第一種区域
(静けさ重視の住居地など)
45〜50 dB 40〜45 dB 40〜45 dB
第二種区域
(一般的な住居地)
50〜60 dB 45〜50 dB 40〜50 dB
第三種区域
(住・商・工が混在)
60〜65 dB 55〜65 dB 50〜55 dB
第四種区域
(主に工業用途)
65〜70 dB 60〜70 dB 55〜65 dB

※上は国の告示が示す「範囲」です。実際の規制基準(dB)は、自治体がこの範囲内で条例・告示等により定めます。
また、学校・保育所・病院(入院施設あり)・図書館・特養・認定こども園などの周囲おおむね50mは、自治体が規制基準を(最大5dB低い範囲で)定められる場合があります。

発電機の“仕様表dB”は「境界dB」じゃない(見るべき3点)

  • 測定距離:7m・1mなど、距離が違えば数字は変わります(単純比較は危険)
  • 負荷条件:無負荷/50%/75%/定格…負荷でエンジン回転・冷却風が変わります
  • 設置環境:壁際・角・地面の反射、排気方向、ルーバーの向きで体感が一気に増えます

発電機の対策は「機種(低騒音)」だけで終わらず、置き方(距離・向き・反射)補機(ポンプ・送風・振動)までセットで潰すのが現場では効きます。


ポイント3:いつ「届出」が必要になるの?(発電機案件の“ルート分岐”)

ここが混乱ポイント:発電機が同じでも「現場の種類」で届出ルートが分かれます。

  • 工場・事業場(特定施設):原則「工事開始30日前まで」の届出(騒音規制法第6条
  • 工事現場(建設工事):作業内容により「特定建設作業」の届出(原則「7日前まで」)(騒音規制法第14条
  • イベント会場:発電機の騒音に加え、拡声機(PA)深夜運用が条例・会場ルールの確認対象になりやすい

※迷ったら、会場所在地の自治体(環境担当)に「特定施設/特定建設作業/条例のどれで確認すべきか」を先に聞くのが早いです。

3-1. 工場・事業場:特定施設の届出(市町村長あて)

指定地域内の工場・事業場において、特定施設を設置する場合は、原則として工事開始日の30日前までに市町村長へ届出が必要です(騒音規制法第6条)。
発電機が絡む場合でも、周辺に7.5kW以上の空気圧縮機/送風機などがある場合は、届出要否の判断が必要になるため、仕様書で定格出力(kW)を確認しておきましょう。

3-2. 工事現場:特定建設作業に当たる場合(7日前まで)

工事現場では、作業内容によって騒音規制法の「特定建設作業」に該当する場合があります。
指定地域内で特定建設作業を伴う建設工事を施工しようとするときは、原則として作業開始の7日前までに市町村長へ届出が必要です(騒音規制法第14条)。
※「何の作業が特定建設作業か」は工法・機械・工程で決まります。迷ったら自治体へ「特定建設作業の届出要否」として確認しましょう。

3-3. イベント会場:発電機+PA+深夜運用(条例・会場ルール)

イベント会場では、発電機の騒音に加えて拡声機(PA・スピーカー)深夜の運用が問題になりやすく、自治体の条例・運用や会場の施設ルール確認が重要です。
(例として東京都は、拡声機・深夜の制限に関する解説ページを公開しています。)

3-4. (別ルート注意)発電機の“電気の手続き”と騒音の届出は別

自家発電設備・非常用発電設備は、規模や設置形態によっては、電気事業法等にもとづく別の手続き(保安面の手続き)が必要になる場合があります。
ただしこれは、騒音規制法の届出要否とは別です。
「電気の手続きは済んでいるから、騒音の届出も不要」とは限らないため、自治体(騒音担当)電気の窓口(工事会社・メーカー・所轄機関)を分けて確認するのが安全です。


発電機を主役に!現場で効く「騒音対策」5つ(苦情を減らす実務ポイント)

  1. 防音型(低騒音)発電機を優先する
    → 夜間・住宅地・病院周辺は、まず機種グレードで体感が変わります(レンタル時は“低騒音型”指定が早い)。
  2. 設置位置は「境界から離す」「反射面を避ける」
    → 壁際・角・狭い路地は反射で増えることがあります。可能なら開けた方向へ。
  3. 排気方向と開口部(扉・ルーバー)を人家側に向けない
    → “エンジン音”より“排気音・冷却風の音”が刺さる現場も多いです。
  4. 防振(ゴムマット等)で「うなり・共鳴」を止める
    → 地面や架台が鳴くと、数値以上に不快に聞こえます(特に夜間)。
  5. 補機(ポンプ・送風機・コンプレッサ)も同時に静音化
    → 発電機だけ静かでも、補機が主原因になりがち。特定施設該当の確認もここで一緒に。

現場レポート(発電くん):夜間ポンプの仮設電源で、苦情寸前!?

現場メモ:雨水排水のポンプを夜間に回す必要があり、可搬型発電機で仮設電源を組む案件。

  • 発電機は低騒音型を手配したのに、住民から「うなり音がする」と連絡
  • 原因は、ポンプ周りの送風・振動と、壁際設置による反射
  • 設置位置を変更+簡易遮音(向き・距離)+運転時間の周知で沈静化

発電くん:「“発電機だけ”見てるとハマる!置き方と補機、ここが勝負だよ!」


最後に:迷ったときの「かんたん3チェック」(ステップ順)

実務で迷ったときに、まずこの順で確認してください。

  1. ステップ1:どこの自治体か?
    → 住所から騒音規制区域敷地境界の基準(条例・告示)を確認。
  2. ステップ2:発電機の運用条件は?
    夜間/早朝境界に近い反射が強い場所排気が人家側…に当たるほど対策強化。
  3. ステップ3:届出や相談ルートはどれか?
    → 工場・事業場なら第6条(30日前まで)、工事現場なら第14条(7日前まで)の可能性を整理し、自治体へ事前相談。
    → イベントなら拡声機・深夜・会場ルールも同時に確認。

この3ステップを押さえておけば、「知らないうちに基準オーバー」「無届で指導」といったリスクをかなり減らせます。


自分で確認したい人向け:公的な参照リンク

⚠️ 法令・通達、自治体条例は改正される場合があります。必ず最新の官報・e-Gov法令検索・各自治体の告示・要綱等をご確認ください。


まとめ:発電機の騒音対応は「境界dB→届出→運用」で固める

  • まずは敷地境界の基準(区域×時間帯)を確認し、発電機の置き方・向き・運転時間を調整
  • 次に、発電機と一緒に入るコンプレッサ・送風機など補機が特定施設か(7.5kW等)を確認
  • 工場・事業場:市町村長への届出(法第6条・30日前まで)の可能性
  • 工事現場:特定建設作業(法第14条・7日前まで)の可能性
  • イベント:拡声機・深夜(条例)や会場ルールの確認も重要
  • 迷ったら、早めに自治体・工事会社・メーカー・レンタル会社へ相談

発電くんコラムでは、今後も「発電機と法規制」「騒音・振動対策」のポイントを、現場目線でわかりやすくお届けしていきます。

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