1. まず結論：アンモニア燃料の「エンジン発電機」を、デンヨー×豊田自動織機で共同開発へ

デンヨーは、豊田自動織機が開発を進める「産業用アンモニアエンジン」を搭載する アンモニアエンジン発電機の開発に着手し、2027年度中の実証開始を目指すと発表しています。

出典（一次情報）： デンヨー株式会社 ニュースリリース（2025/12/17）「アンモニアを燃料としたエンジン発電機の開発について」

2. なぜ「アンモニア燃料」なのか（リリースに書かれている理由）

ポイント①：燃焼時にCO2を排出しない（炭素を含まない燃料）

リリースでは、アンモニアは水素と同様に燃焼時にCO2を排出しない燃料であると説明されています。

ポイント②：常温で液化可能で、輸送面で優位性がある

リリースでは、アンモニアは常温で液化可能なため、輸送面での優位性がある燃料と説明されています （一般に、常温付近でも加圧により液化しやすい性質があります）。

ポイント③：肥料などで利用されてきた実績があり、水素よりサプライチェーン構築が進んでいる

これまで肥料など様々な用途で使われてきた背景があり、水素に比べて サプライチェーンの構築が進んでいるとも説明されています。

3. 「実証開始」とは？ 現場目線での読み方（ここが重要）

今回の発表は、現時点で「実証開始を目指す」という開発段階の内容です。 少なくとも当該リリース単体では、以下のような具体仕様（出力・燃費・運転時間・排ガス値・型式・発売時期・レンタル提供時期）は記載されていません。

• 現場での導入可否は「燃料供給を含む全体システム」「安全設計」「法令手続き」「設置条件」で大きく変わる
• したがって、導入検討は “発電機単体” ではなく “燃料設備込み” で考えるのが現実的

4. 教えて発電くん！ 超ざっくりQ&A（リリースの範囲で）

Q1：もうアンモニア発電機って借りられるの？
A：このリリースは「開発に着手」「2027年度中の実証開始を目指す」という発表で、販売・レンタル提供の有無や開始時期は記載されていません。

Q2：アンモニアを使うメリットは？
A：リリースでは「燃焼時CO2を排出しない」「常温で液化可能で輸送に優位性」「用途実績がありサプライチェーンが進んでいる」といった点が説明されています。

Q3：水素の発電機開発もやってるの？
A：デンヨーは燃料電池を利用した発電装置や、水素混焼／水素専焼エンジン発電機の開発・市場投入も目指していると記載があります。

 

5. 法令・安全の入口（アンモニアの「燃料設備」を含めて確認）

⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。

アンモニア燃料の発電機は、発電機本体だけでなく、燃料の貯蔵・供給（容器、配管、気化、減圧、検知、換気など）を含めた設備として整理するのが基本です。 取り扱い条件によって該当法令や手続きが変わるため、必ず所轄（自治体・官庁）へ確認してください。

関係し得る制度の例（一次情報リンク）

• 高圧ガス保安法（消費・貯蔵など）： 経済産業省：高圧ガスの販売・消費に関する規制（特定高圧ガスに液化アンモニアの記載あり）
• 毒物及び劇物指定令（濃度・形態で該当が変わる）： e-Gov法令検索：毒物及び劇物指定令（アンモニアを含有する製剤に関する規定の確認）
• 労働安全衛生法（SDSに基づくリスクアセスメント・教育等）： 厚生労働省：職場のあんぜんサイト（アンモニア SDS）

※上記は「入口」の例です。実務では、貯蔵量・圧力・設置場所・運搬方法・周辺環境・自治体条例などで要件が大きく変わります。

6. まとめ：今回の発表で押さえるべきこと

• デンヨーは、豊田自動織機の産業用アンモニアエンジンを搭載する発電機の開発に着手し、2027年度中の実証開始を目指すと発表
• アンモニアの位置づけは「燃焼時CO2ゼロ」「常温で液化可能（輸送面で優位性）」「既存用途が多くサプライチェーンが進んでいる」
• 現時点では仕様・発売・レンタル可否などは未公表のため、導入検討は“燃料設備込み”で、続報を確認しながら進めるのが安全

参考（一次情報）： デンヨー公式ニュースリリース（PDF）