2026.03.23

教えて発電くん!発電機の回生電力とは?逆電力・電圧上昇・停止トラブルの対策

最終更新日:2026.03.23
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教えて発電くん!発電機の回生電力とは?逆電力・電圧上昇・停止トラブルの対策

発電機と回生電力・回生エネルギー|逆電力・電圧上昇・停止トラブルの原因と対策をわかりやすく解説

情報整理:2026年3月時点

クレーンの巻下げ、搬送機の減速、エレベータの下り運転などでは、モータが一時的に「発電する側」へ回ることがあります。これが回生です。

商用電源では問題が出にくい設備でも、発電機運転では戻り電力の逃げ場が少なく、電圧上昇・保護停止・逆電力トラブルにつながることがあります。とくに回生負荷を含む設備では、通常の容量計算だけでは足りない場合があります。

先に結論

  1. 回生とは、減速や巻下げ時に機械側から電気が戻る現象です。
  2. 発電機は基本的に電気を送る側なので、戻り電力があると電圧上昇・停止が起きやすくなります。
  3. 対策の基本は、回生を発電機へ戻さない設計に寄せることです。

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目次

1.回生とは何か

回生とは、モータが減速や巻下げ時に外力で回され、モータが発電機のように電気を生む状態です。

インバータ機器では、この戻ったエネルギーはまずインバータ内部の直流回路(DCリンク)に集まります。ここで処理できないと、直流過電圧エラーや停止の原因になります。

イメージ(電気の流れ)

通常運転:発電機 → インバータ → モータ → 機械
回生時 :機械 → モータ(発電)→ インバータ → 装置内で消費 または 電源側へ戻る

本稿では、負荷側から発電機側へ電気が戻る状態を、実務上わかりやすく「戻り電力」や「逆電力」と表現します。なお、「逆潮流」は系統連系の文脈で使われることが多いため、本稿では補足的な表現にとどめます。

2.どんな設備で起きやすいか

回生は、次のような減速・下降・巻下げがある設備で起きやすくなります。

  • クレーン・ホイスト:巻下げ時
  • エレベータ・昇降設備:下降側が強い運転時
  • 搬送機・コンベヤ:急停止・急減速時
  • 大型ファン・ブロワ:慣性が大きい設備の減速時
  • 試験装置・モータベンチ:回生運転モードがある設備
  • AFE(電源側へ電気を戻しやすい整流方式)・回生コンバータ・双方向PCS(電気を双方向にやり取りする電力変換装置):仕様として電源側へ戻す機器

特に工場では、インバータ制御の搬送設備巻上げ・巻下げ設備で問題が出やすいです。

3.発電機で起きる代表トラブル

回生が発電機側へ影響すると、主に次のようなトラブルが起きます。

① 電圧が上がる

戻り電力が発電機側へ流れると、発電機やAVR(自動電圧調整器)が追従しきれず、瞬間的に電圧上昇が起きることがあります。

② 発電機や設備が止まる

発電機側では過電圧・周波数異常が起きやすく、機種や保護構成によっては逆電力保護が動作することがあります。負荷側ではDCリンク過電圧などで停止することがあります。

③ 制御系まで巻き込まれる

PLC、制御電源、通信機器が影響を受けると、通信異常・リセット・安全停止につながることがあります。

回生を疑いやすい症状

  • 加速中は問題ないのに、減速や停止の瞬間だけエラーが出る
  • 巻下げ・下降のときだけ発電機が不安定になる
  • インバータ側に過電圧回生異常が出る

減速時の不調が回生だけでなく高調波や制御電源の影響と重なる場合もあります。あわせて、発電機と高調波(こうちょうは)|現場で起きる「不調」の正体も参考になります。

4.回生のタイプを見分ける

現場では、まず設備を次の2種類に分けて考えると整理しやすくなります。

A.装置内で処理するタイプ

  • 一般的なインバータ+ブレーキ抵抗(制動抵抗器)
  • 回生エネルギーを装置内で熱として処理する
  • 発電機側へ戻りにくく、比較的相性を取りやすい

B.電源へ戻すタイプ

  • 回生コンバータ、回生ユニット、AFE(電源側へ電気を戻しやすい整流方式)、双方向PCSなど
  • 回生エネルギーを電源側へ返す設計
  • 発電機単独運転では逆電力・電圧上昇・停止の原因になりやすい

確認の近道は、①仕様書にAFE・回生ユニット表記があるか ②ブレーキ抵抗があるか ③最大回生kWと継続時間が分かるかの3点です。

【発電くんの現場レポート】減速のたびに発電機が止まる

搬送設備の試運転で、加速中は正常なのに、停止のたびにインバータと発電機が停止。確認すると設備側が電源回生仕様でした。商用電源では問題なくても、発電機単独運転では戻り電力の逃げ場がなく、電圧上昇や逆電力で保護が動作した典型例です。

5.対策の考え方

対策は、回生エネルギーをどこで吸収するかを決めることです。

対策1:ブレーキ抵抗・ブレーキユニットを使う

回生エネルギーを熱として処理する方法です。発電機側へ戻すより安定しやすい一方、発熱・設置場所・容量選定が重要です。

対策2:減速時間を見直す

急減速をやめて回生ピークを下げる方法です。停止距離・停止時間・制御品質とのバランス確認が必要です。

対策3:ダンプ負荷・負荷バンクを検討する

余剰電力の逃げ場を別に用意する方法です。制御設計・安全設計まで含めて考える必要があります。

対策4:発電機容量を見直す

一時的な電圧や負荷の変動に対する余裕は増えますが、容量アップだけで回生問題が解決するとは限りません。

実務の基本方針

まずは電源側へ戻す回生を、装置内で処理する方向へ寄せることを優先し、そのうえで発電機容量・ケーブル・保護設定や保護機器の確認を進めると、トラブルを減らしやすくなります。

回生案件は、発電機だけでなく周辺条件まで一緒に確認するのが安全です

回生設備では、発電機容量だけでなく、ケーブル長・仮設分電・減速条件・燃料運用まで整理しないと現場で止まることがあります。

仕様書や銘板写真があれば、相談がスムーズです。

6.法令・安全上の注意

⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。

重要:商用電源と発電機の安易な並列・逆送は厳禁

労働安全衛生上の注意

低圧の充電電路の敷設・修理や、配電盤室・変電室など区画された場所で充電部分が露出している開閉器の操作など、労働安全衛生関係法令で定める業務では、事業者による特別教育が必要です。

確認先:労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)安全衛生特別教育規程(厚生労働省)

※本稿は一般的な整理記事です。高圧設備、系統連系、保護協調、並列運転の可否は設備条件で判断が変わるため、実施工前には有資格者や所轄官庁、メーカー資料で必ず確認してください。

7.相談前チェックリスト

回生が絡む案件は、最初の情報整理で結果が大きく変わります。最低限、次の項目が分かると相談がスムーズです。

  • 負荷一覧:機器名、定格kW・kVA、台数、同時運転の有無
  • 回生の有無:回生ユニット、AFE、電源回生の表記があるか
  • ブレーキ抵抗の有無:制動抵抗器、ブレーキユニットが付いているか
  • 回生ピーク:最大回生kW、継続時間、発生タイミング
  • 電源条件:単相・三相、電圧、周波数
  • 配線条件:ケーブル長、仮設分電、設置場所

問い合わせ時に、これだけ送っていただければ話が早いです

  • 設備の名称または用途
  • 銘板・仕様書・図面の写真
  • 使いたい場所と使用期間
  • ケーブルや分電盤も必要かどうか
  • 「減速時に止まる」など、今起きている症状

情報が全部そろっていなくても大丈夫です。分かる範囲だけでも送っていただければ、必要な確認項目を整理してご案内します。

さらに読みたい方は、発電くんコラム一覧もご覧ください。

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※仕様書・銘板写真・使用条件があれば添付してください。分かる範囲だけでも大丈夫です。