2025.03.25

消防法規制(指定数量と少量危険物)「このくらいの燃料なら大丈夫でしょ?」——その油断、実はアウトかも!

最終更新日:2025.08.19
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消防法規制(指定数量と少量危険物)「このくらいの燃料なら大丈夫でしょ?」——その油断、実はアウトかも!
 

コラム:「このくらいの燃料なら大丈夫でしょ?」——その油断、実はアウトかも!

最終確認日:2025年8月19日(令和7年)時点

発電機の燃料は「使う量」ではなく「置いておく量=貯蔵量」で規制されます。短期のイベント・工事現場でも、一定量を置けば“危険物施設の手続き”や“少量危険物の届出”が必要。現場でよくある誤解と、実務で迷わないための計算・段取り・チェックリストをまとめました。


1. 指定数量と「1/5ルール」——ここだけは丸暗記

消防法(危険物の規制に関する政令)では、引火性液体(第4類)ごとに指定数量が定められています。
(根拠:危険物の規制に関する政令 別表第三。

品名・区分 指定数量 典型例 現場の目安※20L缶換算
ガソリン(第1石油類・非水溶性) 200L 携行缶燃料 10缶=200Lで指定数量到達
灯油・軽油(第2石油類) 1,000L ヒーター・建機用 50缶=1,000Lで指定数量到達
重油(第3石油類・非水溶性) 2,000L 大型発電機等 100缶=2,000Lで指定数量到達
潤滑油等(第4石油類) 6,000L 潤滑油 300缶=6,000L
動植物油類 10,000L 菜種油等 500缶=10,000L

判断ライン
指定数量の1倍以上:消防法上の「危険物施設」(許可・完成検査 等が必要)
指定数量の1/5以上〜1倍未満少量危険物として市町村条例に基づく届出が必要
1/5未満:届出不要(ただし保管・取扱いの安全配慮義務は当然必要)

「1/5ルール」「1倍以上の扱い」等の考え方と混載計算は、各消防本部の解説資料でも周知されています。

混載時の計算(必携!)

異なる燃料を同じ場所に置くときは、(数量/指定数量)の“和”で判定します。

  • 例1:ガソリン80Lと軽油300Lを置く
    80/200 + 300/1000 = 0.4 + 0.3 = 0.7 → 「少量危険物」届出
  • 例2:ガソリン20Lと軽油100Lを置く
    20/200 + 100/1000 = 0.1 + 0.1 = 0.2 → ちょうど1/5、届出対象
  • 例3:ガソリン10Lと軽油50Lを置く
    10/200 + 50/1000 = 0.05 + 0.05 = 0.1 → 届出不要

同一場所の「指定数量倍数=(A/指定数量A)+(B/指定数量B)…」という考え方です。


2. 現場で起きがちなNGと対策

  • NG:「各テントに20L缶を2缶ずつ」→ 集計すると同一場所扱いで届出超えに。
    対策:保管場所を1カ所に集約し、安全距離・防油措置・区画を確保。数量管理簿で在庫を常時把握。
  • NG:「給油は使うときにその場で」→ 取扱いも条例の技術基準に服します。
    対策:防火管理者(相当)や責任者を明確化し、消火器・標識・立入管理・静電気対策を準備。
  • NG:「セルフGSで自分で容器詰め」→ 不可。本人確認のうえ、従業員が詰替
    根拠:東京消防庁の案内。容器はKHKマーク/UNマーク等で適合確認。

容器(携行缶・ドラム)の選び方

  • KHK(危険物保安技術協会)試験確認の容器は、消防法の技術基準に適合したものとみなされます。
  • ガソリンは金属製容器が適切。ポリエチレン灯油缶は軽油やガソリン用途を想定しておらず不可
  • UNマーク容器は国際輸送規格。国内運用ではKHK適合も広く使われます。

3. 設置前チェックリスト(保存版)

  • 【数量】燃料の混載計算を実施(1/5以上なら届出1倍以上なら許可施設の検討)。
  • 【容器】KHK/UN適合の携行缶・ドラムを採用(破損・膨れ・パッキン劣化なし)。
  • 【保管】転倒防止、防油堤or受け盤、直射日光回避、施錠区画。
  • 【表示】標識(少量危険物等の別、品名・最大数量、禁煙・火気厳禁)を掲示。
  • 【消火器】適正能力の消火器を所定数。※数・仕様は各条例の基準に従う。
  • 【作業】静電気対策(アース、導通)、注油トレー・吸着材、こぼれ対策。
  • 【教育】給油手順・緊急時連絡体制・朝礼KY。
  • 【調達】指定数量の直前で攻めない(搬入計画で余裕を持たせる)。

4. 現場別の“あるある”対策

(A)イベント会場

  • 複数エリアに20L缶を分散→合算で届出超えになりがち。
    対策:燃料は中央保管+時間差補給。深夜納入は警備同席。
  • 可搬発電機×複数台→排ガス・騒音・転倒で二次リスク。
    対策:平坦・養生、コーン養生、ケーブル転倒防止。燃料動線と観客動線は明確に分離。

(B)建設現場

  • 重機・発電機・ヒーターで軽油量が膨らむ。
    対策:週次で累積在庫の見える化、補給タイミングの平準化。
  • 仮設事務所横に“なんとなく”置く→火気・車両動線が近い。
    対策:車両離隔と防油・転倒防止の確保、標識・消火器の即応配置。

5. 「教えて発電くん!」ミニ解説

発電くん

Q1. 20L缶を6缶(120L)のガソリンだけなら届出不要?

A. ガソリンの1/5は40L。120Lは1/5を超えるので少量危険物の届出が必要です。

Q2. セルフスタンドで自分で詰め替えてもいい?

A. 不可。従業員が本人確認のうえで詰替。容器はKHK/UN等の適合を確認。

Q3. ガソリンを灯油用ポリ缶に入れて運べる?

A. 想定外で不適切。ガソリンや軽油は消防法適合の金属製容器を使用。


6. 役所手続きの実務メモ(スムーズに通すコツ)

  1. 数量設計:混載計算→該当区分(届出 or 許可)を確定。
  2. 事前相談所轄消防署 予防課に配置図・数量表・容器仕様を持参(メール相談可の自治体も)。
  3. 図面:平面図(保管区画・離隔・動線)、標識位置、消火器、受け盤/防油堤、換気等。
  4. 現地:受理後の是正ポイントは標識・数量・消火器・転倒防止が定番。写真台帳が効きます。

7. 参考・根拠リンク

⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。

 

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