2025.04.01

ピークカットって何?! 電気代、無駄に払ってませんか?〜ピーク時だけ発電するスマート戦法〜

最終更新日:2025.12.01
  • 知識
ピークカットって何?! 電気代、無駄に払ってませんか?〜ピーク時だけ発電するスマート戦法〜

 

電気代、無駄に払ってませんか?〜ピーク時だけ発電するスマート戦法〜

「この電気料金、なんか高くない?」
そう感じたあなた。その原因は、実は1か月のうちたった30分〜2時間くらいの“ピーク時の使いすぎ”かもしれません。

工場や倉庫、商業施設などの高圧契約では、「一番電気を使った30分間(デマンド値)」が基本料金を決める鍵になります。
つまり、ふだん節電していても、ある1回の「ドカンと使った30分」が、その後1年間の電気料金に大きく影響してしまうケースもあるのです。

🔌 ピークカット発電機とは?

「ピークカット発電機」とは、
1日のうち電力使用がグッと跳ね上がる時間帯だけ動かして、電力会社から買う電気のピークを抑えるための発電機の使い方・仕組みのことです。

イメージとしては、

  • ふだん:電力会社から普通に電気を買う
  • ピーク時だけ:一部の負荷を発電機でまかなう(電力会社から買う分を抑える)

という「時間帯限定の自家発電」です。工場・倉庫・大型店舗など、電力ピークがハッキリしている施設に向いています。

📈 ステップ1:なぜピークカットが必要か?

高圧受電の多くの料金メニューでは、次のような仕組みになっています。

  • 電力量計が30分ごとの平均使用電力(30分デマンド値)を記録する
  • その月で一番大きかった30分デマンド値が「最大需要電力(デマンド値)」になる
  • 過去12か月分の最大需要電力のうち最大の値が「契約電力」となり、基本料金の計算のベースになる

そのため、

  • 1年のうち、たった1回だけ「冷凍機も空調も一斉に動いた30分」があった
  • → その30分のデマンド値が「契約電力」になってしまう
  • → ふだんはそこまで使っていないのに、1年間ずっと高い基本料金を払うことになる

電気料金は一般的に、
「基本料金(契約電力や契約容量に応じて決まる部分)+電力量料金(使った量に比例する部分)+再エネ賦課金など」で構成されています。

詳しくは資源エネルギー庁などの公表資料で確認できます。例:
資源エネルギー庁「電気料金の仕組みについて」

⚡ ステップ2:発電機でどうカットするのか?

ピークカット発電機の考え方は、とてもシンプルです。

  1. まず、デマンド監視装置などで「いつ・どの時間帯にデマンド値が高くなっているか」を確認する
  2. その「デマンドが高い時間帯」だけ、発電機を起動する
  3. 一部の負荷(例:冷凍機、空調、一部のラインなど)を発電機側で賄い、電力会社から買う電力を抑える
  4. 結果として最大需要電力(デマンド値)=契約電力が下がり、基本料金が下がる

ポイントは、1日24時間フルで発電機を回す必要はなく、「ピークの数時間だけ」でよいということです。
ピーク分だけを切り取って発電することで、設備規模も燃料費も抑えつつ、基本料金を狙って下げる運用ができます。

🛠 ステップ3:使用される発電機の例

ピークカット用途でよく使われる発電機の例は、次のとおりです。

  • ディーゼル発電機(可搬型・常用型)
    燃料コストと信頼性のバランスが良く、工場・倉庫などでの短時間ピークカットに多く採用されています。
  • ガス発電機(都市ガス・LPガス)
    ガス配管を利用できる施設では、常設でのピークカット・非常用電源兼用として使われるケースもあります。
  • 出力の目安:50kVA〜1100kVA程度
    冷凍機や空調、ポンプ類など「ピーク時に動いている機器の合計負荷」に応じて選定します。
    モーター負荷は起動時電流が大きくなるため、余裕を見た容量設計が重要です。

💡 ステップ4:メリット・デメリット

✔ メリット

  • 月々の電気料金(特に基本料金)の削減
    契約電力を抑えることで、年間で数十万円〜数百万円規模の削減につながるケースもあります。
  • 停電時のバックアップ電源にもなる
    ピークカット用の発電機を、非常時のバックアップ電源として兼用できる構成も可能です(負荷選定・配線設計が必要)。
  • 電力契約の最適化
    デマンド監視と組み合わせることで、「どの時間帯に、何がピークを作っているか」が見える化され、省エネ・省コストの検討材料になります。

✖ デメリット

  • 初期費用(発電機・盤・工事費)がかかる
    発電機本体に加え、デマンド監視装置・切替盤・配線工事などの設備投資が必要です。
  • 燃料費・保守コストが発生する
    運転時間分の燃料代と、定期点検・消耗品交換などのメンテナンス費用がかかります。
  • 環境・騒音・設置スペースのチェックが必要
    騒音規制や排気の扱い、燃料タンクの設置条件など、各種基準を満たす必要があります。
    近隣環境や建物構造により、設置場所が制約される場合もあります。

🧠 ステップ5:導入時の注意点

  • デマンド監視装置との連動が基本
    「デマンド値が設定値(例:○kW)を超えそうになったら、自動で発電機を起動/負荷を切替える」といった制御が一般的です。
    手動運転でも可能ですが、確実なピークカットのためには自動制御が望まれます。
  • 発電容量は「ピーク分」だけでOK(ただし余裕を持って)
    すべての負荷を発電機でまかなう必要はなく、「ピークを下げたい分」だけを発電機側に逃がす考え方で設計します。
    ただし、モーターやコンプレッサーなど始動電流の大きい機器が多い場合は、余裕のある容量選定が重要です。
  • 系統との切替方法・安全対策
    電力会社系統と発電機をどう切り替えるか(連系するのか、完全切替なのか)によって、盤構成や保護装置が変わります。
    誤った設計は逆潮流や感電など重大な事故につながるため、必ず電気主任技術者・有資格の電気工事業者・電力会社と協議のうえで計画してください。
  • 環境基準や関連法令の確認
    騒音、排気、燃料設備、建築構造、防災などについて、自治体の条例や各種基準を事前に確認する必要があります。
  • 省エネ法との関係
    一定規模以上の工場・事業所では、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」にもとづき、エネルギー使用状況の管理・報告が求められる場合があります。
    ピークカットやデマンドレスポンスは、「電気の需要の最適化」の取り組みの一つとして位置づけられています。

省エネ法やデマンドレスポンスに関する最新情報は、資源エネルギー庁などの公表資料をご確認ください。
例:資源エネルギー庁「改正省エネ法パンフレット」

🔍 よく使われている現場

  • 食品工場
    冷凍機・冷蔵庫・急速凍結設備などが一斉に立ち上がる時間帯にデマンドが跳ね上がりやすく、ピークカットとの相性が良いです。
  • 商業施設(ショッピングセンター・大型店舗など)
    開店前後や夕方の時間帯に、照明・空調・エスカレーター・厨房機器などが重なり、ピークが集中しがちです。
  • 医療機関・福祉施設
    冷暖房や医療機器、給湯設備など、止めにくい負荷が多い施設では、ピークカット+非常用電源の兼用が検討されるケースもあります。

✅ まとめ

項目 内容
目的 デマンドカット(契約電力・基本料金の削減)
使用時間 ピーク時のみ(1日数時間・数十時間/月程度)
推奨発電機 常用型ディーゼル発電機 または ガス発電機(都市ガス・LPガス)
出力の目安 ピーク負荷に応じて 50kVA〜1100kVA クラスまで対応可能
経済効果 設備条件によっては、年間で数十万〜数百万円の電気料金削減が期待できる

まずは、電力会社の「デマンドデータ」や監視記録を確認し、「どの時間帯に」「何が」ピークを作っているかを把握することがスタートラインです。
そのうえで、ピーク時間帯にだけ発電機を使うピークカットを組み合わせると、電気料金の大幅な見直しにつながる可能性があります。

📩 ピークカット発電機の選定・費用シミュレーション・導入プランニングなども、お気軽にご相談ください。

© 2025 発電機.jp – 発電機のレンタル・販売専門サイト

※本コラムの内容は、2025年12月1日時点で公表されている情報をもとに作成しています。

※電気料金メニューや契約電力の決定方法、省エネ関連制度は、電力会社の料金改定や法令改正等により変更される場合があります。
最新の情報は、必ず各電力会社の料金ページや資源エネルギー庁などの公表資料をご確認ください。

⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。

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