2025.04.07

可搬型発電機(仮設発電機)とは? 出力別・設置工事や申請手続きに必要な資格・関連法令 一覧

最終更新日:2025.04.08
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可搬型発電機(仮設発電機)とは? 出力別・設置工事や申請手続きに必要な資格・関連法令 一覧

 

可搬型発電機とは?

可搬型(移動式)発電機とは、建物に恒久的に接続せず、一時的な使用を目的として設置・運用される発電機を指します。
利用例:工事現場・イベント・仮設事務所・災害時の臨時電源 など

短期使用や出力が小さい機種では資格や届出が不要なケースが多い一方、
一定規模(例:10kWや10kVA以上)を超えると、常設設備に近い扱いとなり、
資格や法的手続きが必要になるケースがあるため注意が必要です。

出力別 必要資格・手続き一覧

出力範囲 使用状況の例 必要な資格・対応 関連法令・備考
〜1.5kVA キャンプ、屋外照明、家庭用 ・資格不要(延長コードのみでの使用)
・感電防止のためアース推奨
・特になし
・ただし燃料保管量が多い場合などは消防法が関係する可能性あり
1.6kVA〜10kVA未満 小型工具、仮設照明 ・設置のみなら資格不要
電気工事を伴う場合 → 第2種電気工事士以上
電気工事士法
労働安全衛生法
・消防法(燃料の取り扱い等によっては関係)
10〜19kVA 仮設事務所、空調用 第1種電気工事士による施工推奨
・建物に接続 or 6カ月超使用 → 工事計画届が必要なケース多い
・消防設備(非常放送・火災報知器など)と接続する場合 → 消防設備士(甲種4類)
電気事業法(第48条)
消防法(消防設備接続時、燃料保管 等)
電気工事士法
20kVA以上 現場常駐用の大型機 第1種電気工事士
電気主任技術者(外部委託可)
・工事計画届が必要になる場合多い
電気事業法
消防法(配管や燃料保管、消防設備連動 等)
電気工事士法
50kVA以上 大型イベント・構内用 電気主任技術者(常勤 or 外部委託)
・保安規程の作成推奨
・工事計画届は必須
電気事業法(工事計画届)
電気設備技術基準
消防法(燃料取扱・消防設備接続 等)
電気工事士法
※燃料を大量に扱う場合、危険物規制の対象も検討要

「6カ月」ルールの背景

一般的に、6カ月以内の使用は「仮設」として扱われることが多く、6カ月を超えると「常設」とみなされる運用が多いのは事実です。
しかし、これは法令に厳密に明文化されている基準ではなく、各自治体や産業保安監督部でよく用いられる目安です。

【重要】
・あくまで「運用上の慣例的な判断基準」であり、実際には5カ月でも常設扱いされた例、
逆に7カ月でも仮設が認められた例など、地域や個別事情によって異なる可能性があります。
・最終判断は、管轄当局(産業保安監督部・消防署など)に必ず確認を行ってください。

10kW(10kVA)以上の可搬型発電機と工事計画届

原則として、10kW(≒10kVA)以上の発電設備は電気事業法上「自家用電気工作物」とみなされ、
工事計画届の提出が求められます。

ただし、可搬型(移動用電気工作物)として本当に仮設・短期使用のみで運用している場合、
地域の監督官庁の判断で「届け出不要(または簡略手続き)」とされるケースがあります。
一方、長期的に同じ場所で使用している実態がある場合は、期間に関係なく届け出が必須とされることが多い点に注意してください。

消防法の適用は出力に限らない

出力にかかわらず、消防設備と接続する場合燃料保管量が多い場合などは、消防法危険物の規制に関する法令が適用される可能性があります。
– 非常放送・火災報知器などを連動させる場合は、消防設備士(甲種4類など)の資格要件
– ガソリンや軽油を大量に保管する場合は、危険物取扱者の資格要件や届出

「50kVA以上だから消防法が必要」というよりは、実際の設備・配線・燃料管理状況次第で 小容量でも消防法が適用されるケースがあるため、必ず事前に消防署に確認しておきましょう。

事前にやっておきたい確認とポイント

  • 出力・用途・使用期間を明確にする
    発電機の出力や、どの機器にどの程度の期間使うのかを把握し、正確に管轄当局に伝えましょう。
  • 配線方法・消防設備連動の有無
    建物側と直接接続する工事、非常放送や火災報知器などの消防設備連動がある場合、法的要件が厳しくなります。
  • 燃料の保管
    ガソリンや軽油などを大量に保管する場合は、危険物取扱者の資格や危険物施設の届出が必要となる場合があります。
  • 各監督官庁への事前相談
    地域の産業保安監督部や 消防署などへ早めに問い合わせ、
    工事計画届の提出要否消防法適用の有無を確認するのが最善です。

便利なツール

  • 負荷計算ツール
    使用機器の合計負荷を計算し、必要な発電機出力の目安を把握できます。
  • ケーブル選定ツール
    発電機と負荷を接続するケーブルサイズの選定に役立ちます。
  • 発電機.jp
    発電機の選定や知識に関する総合的な情報サイトです。

まとめ

6カ月という期間はあくまで「仮設と常設を分ける目安」にすぎず、実際の運用は各自治体や監督官庁の判断で左右されます。
10kW(10kVA)以上の可搬型発電機は基本的に「工事計画届」を要する可能性が高く、 移動用電気工作物としての実態があるかどうかで、免除・簡略化が適用されるかが変わります。
消防法は出力の大小にかかわらず、燃料や消防設備の状況次第で適用されるため、 必ず消防署へも確認してください。

いずれの場合も、安全確保と法令遵守が最優先です。
設置・使用を検討する際は、電気工事士や電気主任技術者などの専門家にも相談し、 事前に監督官庁へ届出や確認を行うようにしましょう。

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