2025.04.11

建築基準法 その1 設置してからでは遅い?発電機と建築基準法の落とし穴

最終更新日:2025.04.14
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建築基準法 その1 設置してからでは遅い?発電機と建築基準法の落とし穴

 

 

設置してからでは遅い?発電機と建築基準法の落とし穴

発電機の導入を検討する際、多くの方が「消防法」や「騒音規制」に目を向けますが、意外と見落とされがちなのが建築基準法です。特に、屋内・地下・屋上などの設置には、構造・防火・換気・振動対策など多くの法的条件が関わってきます。
今回は、設置後に「しまった…!」とならないために、事前に押さえておきたい建築基準法に関する“落とし穴”を解説します。

落とし穴1|メンテナンススペースの確保不足

建築基準法では、設備機器に対して点検・保守のためのスペース確保が求められています。発電機は重量機器であり、点検扉・燃料系・排気ダクト・冷却ファンなどへのアクセスが必要です。
設置後に「扉が開かない」「配線が密集していて点検できない」といったケースは非常に多く、機器交換時の搬出入経路も含めて計画する必要があります。

落とし穴2|排気経路が建物基準と衝突

発電機の排気ガスは高温かつ有害物質を含むため、建物の吸気口や開口部から十分な離隔距離をとる必要があります。
建築基準法では、排気口が他の開口部に直接向いている場合や、非常階段や避難経路にかかる位置はNGです。屋上に設置したつもりでも、排気が風で巻き込まれ室内に入る…というトラブルも報告されています。

落とし穴3|床荷重・振動が構造安全性に影響

建築基準法における構造安全性の観点からは、発電機の重量と振動がポイントになります。とくに高出力(100kVA以上)や燃料タンク一体型の機種では、設置面の床荷重制限(kg/m²)を超えることがあります。
また、防振材が適切でなかったり、機械室が梁の上にある場合、振動が構造に伝わりクラックや共振の原因になることもあります。

落とし穴4|防火区画と発電機が干渉する

建築基準法で定める耐火区画や延焼防止措置により、発電機室の壁・扉・配線貫通部に「耐火性能」が求められることがあります。
例えば、隣室との間に30分以上の耐火性能が必要な場合、防火扉や耐火ケーブル貫通処理が必要になります。これを怠ると、検査時にNG判定→再施工になるケースも。

落とし穴5|換気量不足による燃焼不良や熱害

発電機のエンジンは燃焼のために大量の空気を必要とします。また、運転中は大量の排熱が発生するため、機械室内の換気不足は燃焼不良・高温トラブル・制御装置の誤作動などに直結します。
建築基準法上、機械室の換気量に関する明確な数値基準はないものの、実務では必要換気量(m³/h)をもとに換気ダクトやファン設計を行う必要があります。

まとめ|設置計画の初期段階で法令チェックを

発電機の設置は、単なる「置くだけ」の作業ではなく、建物の法的・構造的条件と密接に関係します。
設置後の手直しや再施工はコスト・スケジュールともに大きな負担になります。設計段階から建築基準法に精通した設備業者・施工管理者と連携することで、スムーズな導入が可能になります。


7. 便利なツール・発電機サイト

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    発電機から配線を安全に行うためにケーブルサイズを確認可能。
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