発電機にバイオ燃料は使える?実用性と将来性を解説
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発電機にバイオ燃料は使える?実用性と将来性を解説
1. はじめに
近年、地球温暖化対策の一環として、再生可能エネルギーへの注目が高まっています。 その中でも、動植物由来の資源を原料とする「バイオ燃料」は化石燃料の代替として 有望視されています。本記事では、バイオ燃料の概要や発電機での使用可否、注意点、 今後の展望などをわかりやすく解説します。
2. バイオ燃料とは?再生可能エネルギーとして注目
「バイオ燃料」は、動植物由来の資源を原料とした再生可能な燃料の総称です。主に以下の種類が注目されています。
- HVO(Hydrotreated Vegetable Oil)
廃食油や植物油を水素化処理して精製したパラフィン系燃料。 - GTL(Gas to Liquid)
天然ガスから合成されたパラフィン系燃料。 - RD(Renewable Diesel)
HVOと類似した性質を持つ再生可能ディーゼル燃料。
従来の化石燃料(軽油・ガソリンなど)に比べてCO2排出量を抑えられる可能性があり、 カーボンニュートラルに貢献しうるエネルギーとして期待されています。
3. 発電機での使用は可能?実際の事例
発電機メーカーのデンヨー株式会社は、2024年に欧州規格である EN15940に準拠したパラフィン系バイオ燃料(HVOなど)の 使用を、一部のディーゼルエンジン搭載発電機で公式に認める方針を発表しています。 これは、軽油を燃料とするディーゼルエンジンにおいて、 EN15940規格のバイオ燃料が代替燃料として利用できることを 意味しています。
なぜEN15940に準拠した燃料が必要なのか?
EN15940は、パラフィン系ディーゼル燃料の品質を規定する欧州の基準であり、 エンジンの耐久性や排ガス性能を確保するために定められています。 この基準に合致した燃料であれば、従来のエンジン設計との相性も良く、 安心して使用できるとされています。
4. 使用時の注意点
- 燃料消費量の増加
HVOやRDなどのバイオ燃料は軽油に近い燃焼特性を持ちますが、 わずかながら燃料消費量が増加する場合があります。 - 軽油との混合禁止
税法上の制約から、軽油とバイオ燃料を混合することが禁止されている場合があります。 国や地域ごとの法規定を事前に確認してください。 - 税法上の取扱い
バイオ燃料は軽油とは異なる税務上の扱いを受けることがあるため、 導入前に行政機関や税理士に相談することをおすすめします。 - 製品保証は従来通り適用
EN15940に準拠した燃料を使用する場合、多くのメーカーで既存の保証が適用されるとされています。 ただし、メーカーごとの指定燃料リストや保証条件は必ず確認してください。
5. バイオ燃料を活用するメリット
- CO2排出量削減
原料となるバイオマスは成長過程でCO2を吸収するため、 ライフサイクル全体で見た排出量削減が期待できます。 - 燃料供給の多様化
化石燃料に過度に依存しないエネルギー体制を構築し、エネルギーセキュリティの向上に寄与します。 - 現行インフラとの互換性
EN15940対応であれば既存のディーゼルエンジンが使用可能なため、大掛かりな設備改修が不要です。
6. 導入が進む現場と今後の展望
都市部の建設現場や自治体の防災用電源として、環境負荷低減の要素が求められる中で バイオ燃料の採用が進んでいます。CO2削減目標やESG投資の拡大に伴い、 今後ますます重要性が高まると期待されています。
- 都市型建設現場:騒音や排ガス規制が厳しく、クリーンな燃料へのニーズが強い。
- 自治体防災用途:長時間稼働が求められ、環境負荷低減に向けた取り組みが注目される。
- その他産業用途:製造業などでもCO2排出量削減策としての利用が進む可能性。
7. 便利なツール・発電機サイト
バイオ燃料など新しいエネルギーの導入や、現場の状況に適した発電機の選定には、 事前の負荷計算やケーブル選定が欠かせません。以下のツールやサイトを活用することで、 発電機の導入コストや安全性、運用効率の向上につなげることができます。
8. まとめ
- バイオ燃料(HVO・GTL・RDなど)は再生可能エネルギーとして注目度が高い。
- EN15940準拠のバイオ燃料をディーゼル発電機で使用可能とするメーカーが増え始めている。
- 燃料消費量の増加や税法上の扱いなど、導入時の注意点を理解しておく必要がある。
- 都市型建設現場や自治体の防災用途など、実用化の場が拡大している。
バイオ燃料は、化石燃料に代わるクリーンエネルギーとして可能性を秘めています。 カーボンニュートラルを目指す上でも重要な選択肢の一つとなるでしょう。 導入にあたっては、メーカーや行政機関の情報を確認しながら、 最適な燃料選定と設備・運用体制を整えることが大切です。