スター・デルタ(Y-△)始動とソフトスタート徹底比較 教えて発電くん!
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(本記事の法令・数値は 2025年9月11日 時点の公表資料を確認済みです。主要根拠は本文末の「参考・根拠リンク」に掲載)
教えて発電くん!スター・デルタ(Y-△)始動とソフトスタート徹底比較
教えて発電くん!~Y-△始動とソフトスタートの違いって?~
こんにちは!発電くんです!モーターを動かす時、「突入電流」や「力率低下」ってよく聞きますよね。実は、モーター始動方法の選び方次第で、発電機の動作にも大きく影響するんです。今日は「スター・デルタ(Y-△)始動」と「ソフトスタータ(ソフトスタート機能)」の違いをわかりやすく説明しますね!
負荷の種類(誘導性 vs 抵抗性)
まずは基本の用語からおさらいしましょう!モーター負荷は誘導性負荷(インダクティブ)に含まれる代表例です。
誘導性負荷(モーターを含む)
コイルや電磁気を使う負荷。モーター、電磁弁、トランス、電磁クラッチなど。始動時に大きな電流(突入電流)が流れ、力率は低下しがちです。
抵抗性負荷
ヒータ、白熱灯など。始動電流の立上りは比較的穏やかで力率は概ね1.0に近いです。
比較表で整理!
項目 | 誘導性負荷(モーター含む) | 抵抗性負荷 |
---|---|---|
動作 | 回転や電磁動作あり | 発熱・発光など |
始動電流 | 中〜非常に大(突入電流) | 小〜中 |
例 | ポンプ、ファン、圧縮機、電磁弁、トランス | ヒータ、白熱灯 |
スター・デルタ(Y-△)始動のポイント!
スター・デルタ始動はシンプルで安価!始動時にY結線で電圧を抑えて、その後Δ結線に切り替える方式です。でも、発電機と一緒に使う場合は電流ショックに気を付けましょう!
【電流ショックって?】
Y結線からΔ結線へ切り替わる瞬間に大電流の過渡が流れる現象です。移行方式(オープン/クローズド)や切替タイミング、負荷状態によっては定常始動電流の約2倍に達する場合があり、発電機の保護リレー動作やブレーカトリップの原因になります(対策としては、適正な切替タイミング設定・クローズドトランジション採用などが有効)。(参考:富士電機「電動機の始動方法」)
- ◎ シンプルで低コスト
- △ 切替時の電流ショックあり
ソフトスタータ(ソフトスタート機能)って何がすごいの?
ソフトスタータは電子制御で電圧をなめらかに調整するので、モーターも発電機も負担が少ないんですよ!起動完了後は内蔵または外付けのバイパスコンタクタでサイリスタを短絡する機種も多く、定常時の高調波を抑えられます。
- ◎ スムーズな始動、機械に優しい!
- △ コストが高め、放熱が必要
Y-△始動 vs. ソフトスタータ - 電流・トルク徹底比較
※ 用語:DOL=直入始動(Direct On Line)
比較軸 | Y-△ 始動 | ソフトスタータ |
---|---|---|
始動電流(定格比) | 約 2.0〜2.6 × FLA (※Δ切替瞬間に過渡ピークが生じることあり) |
設定範囲 1.5〜6(〜7)× FLA ※設定値・機種に依存。2.0×設定ならY-△より小になることが多い。 |
始動トルク(DOL比) | 約 25〜33 % | 電流設定と概ね相関(原理はV²依存) 例:3× ⇒ 50〜60 % |
始動時間 | 3〜10 s(Δ投入瞬間ピーク) | 5〜15 s(滑らか) |
力率(始動時) | 0.1〜0.2 | 同等〜やや良 |
高調波 | 低い | 起動中は高め(フィルタ/リアクトルで低減、 起動後のバイパスでさらに低減) |
装置コスト | ソフトスタータの 1/2〜1/3 | Y-△より高価 |
適合発電機容量 (30 kWモータ例) |
170 kVA クラス | 150 kVA クラス※ (電流2.0×設定時) |
※ Y-△行の2.0〜2.6×FLAは定常最大値の目安で、Δ切替瞬間には条件次第でより大きな過渡ピークが生じる場合があります。
※ ソフトスタータを3.0×設定にすると必要kVAは増加し、200 kVAクラスが必要になるケースがあります(発電機と他負荷の同時運転状況に依存)。
30 kW(≒40 HP)/200 V モータで発電機容量を計算してみよう!
以下の条件を想定します。
- 電動機定格出力:30 kW
- 効率 η:90 %
- 力率 PF:0.8
- 定格電流 FLA ≒ 120 A
- 電源:三相(3φ)/線間電圧 VL-L = 200 V
1. 始動電流の設定
始動方式 | 設定倍率 | 計算電流 IS |
---|---|---|
Y-△ | 2.5 × FLA | 300 A |
ソフトスタータ | 2.0 × FLA | 240 A |
2. 必要見掛け電力 S[kVA]
式:S = 安全係数(1.6) × √3 × VL-L × IS / 1000
(VL-L = 200 V)
始動方式 | S[kVA] | 推奨発電機クラス |
---|---|---|
Y-△ | ≈ 166 kVA | 170 kVA |
ソフトスタータ | ≈ 133 kVA | 150 kVA |
ソフトスタータの電流上限を 3.0× にすると必要 kVA は約 200 kVA となり、推奨発電機クラスも 200 kVA にアップします。
発電くんの現場レポート!~実際の現場の声~
若手くん:
「発電くん、ポンプの始動にはスター・デルタが安くて良いですよね?」
発電くん:
「発電機と一緒に使うなら注意だよ!切替時の電流ショックで発電機が止まることもあるんだ。」
若手くん:
「それは困りますね…!」
発電くん:
「そんな時はソフトスタータが安心!ゆっくり電圧が上がるから発電機にも優しいよ!」
モーター始動方式別・発電くんの選定アドバイス!
使い方や目的に合わせて最適な方法を選びましょう!
条件 | Y-△始動 | ソフトスタータ |
---|---|---|
コスト優先 | ◎ | △ |
滑らかな始動 | △ | ◎ |
始動電流制御 | 中 | 高(設定可能) |
発電機併用 | 要注意(電流ショック) | 安定運転が可能 |
法令・安全面のチェックポイント
- 電気事業法施行規則 第38条(電圧・周波数):標準電圧100Vは101Vの±6V、標準電圧200Vは202Vの±20Vが「維持すべき電圧」の目安(受電点)。発電機併用時もこの範囲を目安に、Y-△切替の瞬時変動で逸脱しないか確認しましょう。
参考:e-Gov法令検索|電気事業法施行規則/電気事業法(第26条) - 消防法 第17条の3の2(設置届):非常用発電機を消防用設備等の非常電源として設置する場合は、所轄消防へ届出が必要。自治体で提出期限の運用が異なるため要確認(東京都例:設置後4日以内)。
参考:東京消防庁|消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届出書 - 消防法 第17条の3の3(点検・報告):点検の実施は機器点検=6か月ごと/総合点検=年1回。点検結果の報告は特定防火対象物=年1回/非特定=3年に1回(自治体様式は異なる)。
参考:東京消防庁|消防用設備等点検報告制度(Q&A)
⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。
参考・根拠リンク
- e-Gov法令検索:電気事業法施行規則 第38条/電気事業法(第26条)
- 経済産業省(資料):電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン(受電点の電圧維持 101±6V/202±20V)
- 東京消防庁:消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届出書(届出先・様式)
- 東京消防庁:消防用設備等点検報告制度(Q&A)(点検周期/報告周期)
- 富士電機:電動機の始動方法(Y-△の一般論、切替時の過渡、ソフトスタータの原理)
- 富士電機:電磁開閉器総合カタログ:自動スターデルタ始動器(方式・構成例)
- 安川コントロール:ソリッドステートスタータ SMCシリーズ ユーザーズマニュアル(電流制限 50〜500%Ie の設定例)
- (参考・日本語資料)富士電機(シュナイダー取扱):ソフトスタータ ATS48□□□Y 取扱説明書(電流リミット設定レンジ・要ログイン)
おわりに~発電くんからのメッセージ~
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