教えて発電くん!発電機の並列運転(パラレル運転)ってなに?
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⚠️ 法令・通達は改正される場合があります。最新情報は必ず所轄官庁の公表資料をご確認ください。
教えて発電くん!発電機の並列運転(パラレル運転)ってなに?
発電くん:「発電機を2台並べて使えば出力アップ?でもただ繋げればいいってわけじゃないんだよ!」
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発電機A
(同期対応・AVR付) |
発電機B
(同期対応・AVR付) |
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| ↓ 各発電機用遮断器(GCB) ↓ 横流補償用CT(Droop CT) |
通信ケーブル・
制御信号線 |
↓ 各発電機用遮断器(GCB) ↓ 横流補償用CT(Droop CT) |
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並列運転制御盤(パラレルコントローラ)
(同期チェック・逆電力継電器等を内蔵) |
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負荷側(分電盤・設備・現場機器など)
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並列運転とは?
発電機の並列運転(パラレル運転)とは、複数の発電機を同期させて同時に運転し、合計出力を高める方式です。単独の発電機ではまかないきれない大容量負荷にも対応できるほか、冗長性や柔軟な運用が可能になります。
並列運転に必要な条件(目安)
- 周波数差:±0.2 Hz 程度以内
- 電圧差:定格の ±2 % 程度以内
- 位相角:±10° 程度以内、相順(R-S-T)が一致
※実際の許容範囲は機種・メーカーの基準に従ってください(例:デンヨー技術資料では「電圧・周波数・位相が一致」等の条件を記載)。参考リンク
並列運転のメリット
- 大容量負荷に対応可能:小型発電機を複数台組み合わせて大きな電力を供給。
- 冗長性の確保:1台が故障しても他の発電機で供給を維持。
- 柔軟な運用:必要な出力に応じて台数を調整可能。省エネにも貢献。
- メンテナンス対応:一部の発電機だけ停止して保守点検ができる。
並列運転に必要な設備
- 並列運転対応型の発電機(同期可能な仕様)
- 並列運転制御盤(パラレルコントローラ)(同期チェックリレー・逆電力継電器などを内蔵)
- 通信ケーブル・制御信号線(例:CAN, 同期信号, 負荷分担線)
- 無効電力分担用 横流補償用CT(Droop CT)(AVRへ入力)
- 各発電機のAVR(自動電圧調整器)
- 各発電機用遮断器(GCB)(逆電力検出時に逆電力継電器がトリップ指令)
用語解説:横流補償用CTと並列運転制御盤の違い
- 横流補償用CT(Droop CT): 各発電機の出力電流(無効電流成分)を検出し、AVRに信号を与えることで無効電力の分担(電圧のドロップ特性)を安定させます。
- 並列運転制御盤(パラレルコントローラ): 複数の発電機を同期させ、全体の運転・保護・負荷分担(有効電力側)を制御します。
- つまり、Droop CTは「無効電力分担のためのセンサー+補償入力」、制御盤は「全体制御と保護の頭脳」です。参考:デンヨー資料(横流補償)
注意点とトラブル例
- 同期不良による逆流事故:条件が合わないまま並列投入すると、逆電力でモータリング→遮断器トリップの事態に。必ず同期確認(同期チェック)を。
- 循環電流(横流)の発生:電圧・励磁の差で無効循環電流が流れ、軽負荷でも発熱・過電流となる場合。
- 単相負荷偏り:三相不平衡が大きいとロータ加熱の原因。単相回路は相バランスを配慮。
- 異メーカー混在注意:制御方式が異なる発電機は並列不可のケースが多い。
- 溶接機の使用時:突入電流が大きい機器と併用する際は出力・分担のバランスに注意。
※並列運転の実施前には、必ず事前にテストやシミュレーションを行い、安全を確認しましょう。
メーカー別:並列運転対応状況(2025年時点の一般的な傾向)
◎:広く対応 / ○:一部対応(条件・オプションあり) / △:限定的 / ×:非対応(要代替検討)
| メーカー名 | 並列運転対応 | 備考 |
|---|---|---|
| デンヨー(Denyo) | ◎ | DCAシリーズなど。手動/自動並列・横流補償の技術資料あり。資料 |
| 北越工業(AIRMAN) | ○〜◎ | 機種により手動/自動並列に対応(カタログ記載)。資料 |
| ヤンマー(Yanmar) | ○ | 非常用発電装置で自動並列運転の案内あり。資料 |
| 新ダイワ(やまびこ) | ○ | 小型インバータで並列端子/並列キット対応。資料 |
| 三菱重工(MHI) | ◎ | 大型機に強い。常用・非常用とも並列システム構築実績多数(個別仕様確認)。 |
| ホンダ(Honda) | △ | 小型インバータの**同型式限定**で並列(純正キット)。資料 |
| ISUZU(いすゞ) | △ | 主にエンジン供給。完成発電機の並列可否はOEM/機種ごとに確認が必要。 |
| その他(海外製) | △〜× | 制御方式や規格が異なるため、日本製との混在は不可が多い。個別確認推奨。 |
現場レポート:某建設現場での活用例
現場の声:
「300 kVA の負荷に対して、150 kVA 発電機を 2 台並列で使用。
昼間の低負荷時は 1 台のみ、夕方のピークタイムには 2 台運転。
結果として、燃料使用量を約 20 % 削減できました!(当社実測一例)」
発電くんのアドバイス!
発電くん:「並列運転は便利だけど、正しい知識と設備が必要!
発電機選定の際には“並列運転対応”の有無をしっかりチェックしようね!」
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並列運転をもっと簡単に行う方法や、最新の制御方式について詳しく知りたい方は、以下のコラムもご覧ください。
▶ Easygenってなに?デンヨー発電機との関係とメリットを解説!
参考リンク(一次情報)
- 経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」(最新版の改正履歴を含む): PDF
- デンヨー技術資料「エンジン発電機の並列運転」: PDF
- Honda「並列運転用関連商品」: 公式ページ
- やまびこ(新ダイワ)「IEG1000-M(2台並列可)」: 公式ページ
- ヤンマー「非常用発電システム(自動並列運転)」: 公式ページ
- Woodward「easYgen-3000XT(多台数並列・負荷分担)」: 製品ページ
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