2025.05.29
教えて発電くん!発電機の並列運転(パラレル運転)ってなに?
最終更新日:2025.06.02
- 教えて発電くん
- 知識

教えて発電くん!発電機の並列運転(パラレル運転)ってなに?
発電くん:「発電機を2台並べて使えば出力アップ?でもただ繋げればいいってわけじゃないんだよ!」
発電機A
(同期対応・AVR付) |
発電機B
(同期対応・AVR付) |
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↓ アイソレーションブレーカ (逆流保護) ↓ ドロップCT |
通信ケーブル・
制御信号線 |
↓ アイソレーションブレーカ (逆流保護) ↓ ドロップCT |
並列運転制御盤(パラレルコントローラ)
(逆電力継電器含む) |
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↓
負荷側(分電盤・設備・現場機器など)
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並列運転とは?
発電機の並列運転(パラレル運転)とは、複数の発電機を同期させて同時に運転し、合計出力を高める方式です。単独の発電機ではまかないきれない大容量負荷にも対応できるほか、冗長性や柔軟な運用が可能になります。
並列運転に必要な条件
- 周波数差:±0.2 Hz 以内
- 電圧差:定格の ±2 % 以内
- 位相角:±10° 以内、相順(R‑S‑T)が一致
並列運転のメリット
- 大容量負荷に対応可能:小型発電機を複数台組み合わせて大きな電力を供給。
- 冗長性の確保:1台が故障しても他の発電機で供給を維持。
- 柔軟な運用:必要な出力に応じて台数を調整可能。省エネにも貢献。
- メンテナンス対応:一部の発電機だけ停止して保守点検ができる。
並列運転に必要な設備
- 並列運転対応型の発電機(同期可能な仕様)
- 並列運転制御盤(パラレルコントローラ)
- 通信ケーブル・制御信号線
- 負荷分担用 ドロップCT
- 各発電機のAVR(自動電圧調整器)
- アイソレーションブレーカ(逆流保護)と逆電力継電器
用語解説:負荷分担用ドロップCTと並列運転制御盤の違い
- ドロップCT: 各発電機の出力電流を検出し、並列運転制御盤に信号を送ります。これにより、発電機同士の負荷分担を均等に保つことができます。
- 並列運転制御盤(パラレルコントローラ): 複数の発電機を“同期”させ、運転全体を制御・管理する装置です。ドロップCTなどの信号を受け、各発電機の出力を最適に調整します。
- つまり、ドロップCTは「電流の監視用センサー」、並列運転制御盤は「全体をコントロールする頭脳」です。
注意点とトラブル例
- 同期不良による逆流事故:条件が合わないまま並列投入すると、発電機が故障する恐れ。
- 循環電流の発生:軽負荷でも発熱・過電流となる場合がある。
- 単相負荷偏り:三相不平衡が大きいとロータ加熱の原因。
- 異メーカー混在注意:制御方式が異なる発電機は並列不可のケースが多い。
- 溶接機の使用時:突入電流が大きい機器と併用する際は出力バランスに注意。
※並列運転の実施前には、必ず事前にテストやシミュレーションを行い、安全を確認しましょう。
メーカー別:並列運転対応状況
主要メーカーごとの並列運転対応可否を一覧にまとめました(2025年時点の一般的な傾向)。導入検討の際は必ず機種仕様をご確認ください。
メーカー名 | 並列運転対応 | 備考 |
---|---|---|
デンヨー(Denyo) | ◎ | DCAシリーズなど多数。並列運転盤との組み合わせが豊富。 |
ヤンマー(Yanmar) | ○ | 高出力機中心に対応。事前の機種確認が必要。 |
いすゞ(ISUZU) | △ | 制御方式が独自。混在運転は要注意。 |
新ダイワ(やまびこ) | ○ | 中小型中心。一部インバーター機は非対応。 |
三菱重工(MHI) | ◎ | 大型機に強い。常用・非常用ともに並列対応可能。 |
ホンダ(Honda) | △ | 小型インバーター機での並列が中心。出力制限あり。 |
キトー/クイック | × | 並列運転非対応。シングル運転専用。 |
その他(海外製) | △〜× | 制御方式がメーカーごとに異なり、日本製との混在不可が多い。 |
現場レポート:某建設現場での活用例
現場の声:
「300 kVA の負荷に対して、150 kVA 発電機を 2 台並列で使用。
昼間の低負荷時は 1 台のみ、夕方のピークタイムには 2 台運転。
結果として、燃料使用量を約 20 % 削減できました!」
発電くんのアドバイス!
発電くん:「並列運転は便利だけど、正しい知識と設備が必要!
発電機選定の際には“並列運転対応”の有無をしっかりチェックしようね!」
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